人間の所業 ページ12
部屋の中に入って鬼太郎は指しゃぶりをしながら、おばばの膝の上で落ち着いているようだった。まぁ今の状況をおばばに話したところ。
「人間とな！？」
『そうなんだよおばば。その水木という人間が一緒に住むことになってこの子を育てることになったんだけど。でもその人、兄さんと一緒に義姉さんを助けてくれたんだ。ただ･･････記憶を失ってしまったんだ。たぶん、狂骨に襲われて、』
「狂骨ッ、飛んだものを。人間の仕業じゃな？」
その言葉に私も、兄さんも頷く。おばばは、ため息を着きながら鬼太郎の顔を見るために俯いていた。そして、こちらを見てから、一呼吸おいて。
「人間の怨みを集めた狂骨は誰にも止められはせん。だがな、人間も、妖怪も行方不明になっとる噂は聞いたことがある。もしや」
「そうじゃ。わしがこの体になったのも、岩子が居なくなったのも、全て、人間の所業じゃったんじゃ」
「おのれ人間めッ！･･････なぜ、人間こそ化け物じゃないか！」
怒りを露わにさせながらも、口調は静かに、静かに怒りを露わにしていた。そんなおばばを私は、今まであったことを静かに振り返りながらこういった。
『おばば、人間全てが悪いわけじゃないよ。今回は、龍賀一族が全ての引き金だったんだ。龍賀一族が、裏で全ての手を引いていた。妖怪の血をつかった不死の上薬。人間に混ぜ、生きた屍にさせ、そこから狂骨を生み出していた』
「A･･････辛くはなかったか？」
おばばが、こちらに心配の目を向けていた。私は目を伏せた。気持ちとしては、辛くは無いと言えない。辛かった。だが、兄さんに比べたら。
『辛くはなかったよ。私は、ただ目を失っただけだし。ただ、人間が人間をどうして苦しませるのか、私には理解ができなかった。』
私は正直に行った迄だった。兄さんも、おばばもお互い目を合わせて頷いてるようだった。
「Aは、」
口を開いたのは兄さんだった。こちらにテケテケと歩いてきてから、腕を組んで見上げた。
「我慢強い子じゃのう」
『え、』
「岩子の人間を愛するという想いをしっかり継ごうとしておるのだろうが、結局は人間は薄汚い、欲に溺れる人間もおる。Aはそんな人間を目の当たりしたんじゃ。岩子も失った」
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作者名：華紅薇 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時：2023年12月19日 15時
