屋上の彼 3 ページ3
彼の言葉で、私は口の中にあったチョコの味が分からなくなった。
アル「俺は大事な人を二人、この世を去っていくのを見た。」
アル「一人目は、俺の兄、元々この学校出身なんだ。俺も、兄も、」
ついに私は、彼の表情を見た。綺麗な横顔は、いつもの彼ではなく、本当の彼がいたような気がした。
アル「次に、俺が初めて担任を持ったクラスの子。いじめが原因だった。彼女は、ここから飛び下りる時、俺の顔を見て、初めて笑った。笑わなかった子が、死ぬ時に笑ってここから飛び降りたんだ」
私はその話を他人事のようには聞けなかった。だから、その話を聞いて、耳を塞ぎたかった。
アル「君を見た時、なにか予感がしたんだ。俺は、もしかしたらこの子も失うって、何故か直感した。そしたら、案の定、君はここから飛び降りようとした。今思い返せば同じ顔をしてた。君は、兄とあの子と同じ顔をしてた。」
アル「全てに絶望して、疲れきった顔をしてた。もう憔悴しきってるっていうか、そんな感じ」
私の顔を見て、疲れきった笑みをした。
アル「また俺の目の前で、人の命が消えるのかと思ったら、君を止めてた。」
「せんせい……私……」
アル「なんだい?」
「いじめ、られてるんです……」
その言葉を吐いた時、呼吸が苦しくなった。これを言ったら私はただの可哀想な子って、思われるのかな。かわいそぶってる馬鹿な子って。
アル「誰からだい?俺が、解決してやるんだぞ」
その時の彼からは、感じ取れるほどの怒りを感じた。この人は、こんな自分に、そんな表情を見せてくれるんだ。
数日してから、私のいじめ問題は、静かに幕を閉じた。あれから屋上に行くことも無く、静かに過ごせた。
だけど、また屋上に行った時に。今度は、彼が先にそこにいた。
「今度は先生が飛び降りようとしませんよね?」
なんて、言えば。彼はこちらに驚いたように目を見開くが、微笑んで首を横に振った。
アル「普通に過ごせてるようでよかった。もう、俺は必要ないかい?」
「…………いや、まだ、」
アル「まだ何かあるのかい?」
「これからも、私と一緒にいてくれませんか?私の、生きる理由になってください!」
我ながらなんとも重い告白だと思ったが、彼はあははっと笑い。
アル「YESなんだぞ、」
私と彼の間に、風が吹き、彼も私も微笑んでいた。
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咲夜 - リクエストで古明地こいしのコスプレしてみたで追加キャラは シンガポールさんとマレーシアさんとフィリピンさんよろしくお願いします (2022年9月25日 18時) (レス) id: f2c43ad404 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - わぁーありがとうございますm(_ _)m (2022年9月25日 17時) (レス) @page48 id: f2c43ad404 (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - リリーさん» 了解しました!リクエストをお書きする時は後編に書かせていただくのですが、それで宜しければお描きします!!ありがとうございます😊 (2022年9月24日 15時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 私のリクエストに応えてくださりありがとうございました。日帝さんもいて嬉しかったです。次のリクエストとして夢主と彼が入れ替わってしまったらというのをお願いしたいのですが大丈夫でしょうか? (2022年9月24日 10時) (レス) id: e6c12b1f61 (このIDを非表示/違反報告)
華紅薇(プロフ) - Maさん» 了解しました!!コメントリクエストありがとうございます! (2022年9月23日 12時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華紅薇 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2022年9月9日 21時