第112話─死なない男─ ページ17
織田「また傷が増えたな」
太宰「増えたねえ」
自分は珈琲を口に着けながら目だけで兄を見る。その言葉に前の兄を蹴っ飛ばした光景が流れる。怪我の事云うのだろうか、私を指さしながら。
『こいつのせい』
ってドヤ顔で云われるのではないか、地味に緊張が走る。そんな事も考え無しに織田作さんも、兄も包帯の巻かれる手とかを眺めてた。
織田「その脚の怪我の理由は?」
太宰「『不意の怪我をしないために』っていう本を歩きながら読んでいたら、排水溝に落ちた」
「ぷっ!」
少し珈琲を吹いた。咳と誤魔化して咳込んでいたが、危うく兄に絞め殺されるのではないかと思った。
織田「ではその腕の怪我は?」
太宰「車で峠をぶっ飛ばしていて崖から落ちた」
「っ、ふっ、」
やべぇ。腹痛い。必死にこらせてるから口を手で押えて顔を背けてる。
織田「ではその額の包帯は」
もう!織田作さんやめて!!!自分が笑い死にしちゃうから!もう、辞めてください。殴られた傷とかの痛みもあって堪えてるのに笑いを抑えられない。
太宰「『豆腐の角で頭をぶつけて死ぬ』という自 殺法を試した」
織田「豆腐で怪我したのか?」
「そんな訳・・・・・・」
駄目だ、もう腹筋崩壊。
太宰「豆腐を堅くするため、独自の製法を編み出したのだよ。塩で水分を抜いたり、重しを載せたり・・・・・・自前の厨房でね。おかげで釘を打てるほど堅くなったし、組織の誰よりも豆腐の製法に詳しくなった」
それに真剣に訊く織田作さんが可哀想に見えてきた。駄目だよ、一番組織で信用してはならない男ナンバーワンなんだから。
織田「その豆腐はうまいのか?」
太宰「悔しいことに」
「ぇ、美味しいんですか?」
もう、本当か判らない。
太宰「薄く切って醤油で食べると、ものすごくおいしい」
織田「うまいのか・・・・・・」
織田作さんが嘘っぽい話を感心しちゃってる。躰を兄に向けて面白そうに訊いてた。そして、躰を元に戻して頷いてた。
織田「今度食べさせてくれ」
判った事。織田作さん絶対天然でしょ。なんでこんな変な話を受け入れちゃうの?豆腐って堅くなる?そもそも。もう、家庭科と理科をやり直しましょう((。
私は静かに額を押えた。
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華紅薇(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!そんな風に言っていただけるとすごく嬉しいです!この話も後編に移りますのでそちらの話もよろしくお願いします!読んで下さりありがとうございます! (2021年10月20日 11時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - この小説本当にめちゃくちゃ大好きです!そして今めちゃくちゃ続きが気になってます、!!なんかキリが悪い所でのコメントですが、応援していることを伝えたかっただけです!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月20日 2時) (レス) @page50 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年9月29日 12時