第107話─何年ぶりか─ ページ12
A_side
暫く眠っていたらしい。起きた時、自分はふかふかのベッドの上だった。仄かに兄の匂いがする。此処は兄の寝室なんだと気づいた。
ゆっくり起き上がれば、泣きすぎて頭痛い。ぼーっとする頭でベッドから降りて靴を履く。そして、執務室へと続く扉をそろーりと開けた。
すると、一瞬だが兄が仕事している処を見た。一瞬だったが、とても印象に残った。そして兄は此方を見てコトッと万年筆を机に置いた音が響いた。
立ち上がって私の許に歩いてくる。少し、先刻のように叩かれるのではと脚が一歩下がった。
けれど其れもお構い無しに私を抱きしめた。寝ぼけてるのかもしれない。之は夢なのかもしれない。そう思っても、自分の鼓動は聴こえるし、兄の温もりも感じる。
太宰「おはよう・・・A・・・」
耳元で呟かれた。冷たい声ではなく、優しく子守唄の様な声。本当はこの侭兄に会った時は知らん振りして無視してやろうって思ったのに、これじゃ計画は失敗だ。
すると、私からゆっくり離れた。そしたら、ぽんっと私の頭に兄の手が置かれる。上を向いた時撫でられていた。
「何で、撫でるんですか・・・・・・」
太宰「私がこうしたかっただけ、別段深い理由はない。具合が良くなったのなら、夜、私に付き合ってくれるかな?」
「殺しとお仕置き以外にしてください」
太宰「違うよ、そんな事はしないって・・・・・・少し仲直りの印に一緒の時間を過ごせないかなと」
「僕は之から首領に報告書を書いて報告しないとならないんです。その他は、中也さんにもう一回体術を教わらなければと、なのでお断りします」
そして、自分は兄の隣を通って離れて行く。扉に近づいた時に、自分は暴言を吐いてやろうと立ち止まって背を向けながら云ってやった。
「あと、貴方と仲直りした心算はありません。其れに、貴方から受けた数々を忘れた訳では無いので」
自分は扉のドアノブに手をかけて開けて出ていこうとした。
太宰「おや、出ていかないのかい?」
皮肉を含めた口調で云って来る。若干腹立つ。今すぐ引き返してあの美男の顔を殴ってやりたいが──。自分は、先刻の事凄く嬉しかった。正直。だから、ため息をついた。
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華紅薇(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!そんな風に言っていただけるとすごく嬉しいです!この話も後編に移りますのでそちらの話もよろしくお願いします!読んで下さりありがとうございます! (2021年10月20日 11時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - この小説本当にめちゃくちゃ大好きです!そして今めちゃくちゃ続きが気になってます、!!なんかキリが悪い所でのコメントですが、応援していることを伝えたかっただけです!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月20日 2時) (レス) @page50 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年9月29日 12時