第106話─古傷が痛む─ ページ11
太宰_side
Aが、私に寄りかかるようになった。そして、崩れるように倒れそうになるのを何とか抱き抱える。顔を見ようと思って上を向かせるとガクッと頭が後ろに行き顔に掛る髪が重力で後ろに垂さがる。
自分が叩いてしまった頬が赤くなり、目から涙が流れて涙がこめかみに向かって流れ落ちる。
唇を何度もかみ締めたりしてるのか、切れてる痕が判る。兄失格だ。Aを心配して、いつも云うのにその言葉は鋭くなってしまって、Aを傷つけてばかりだった。
其の侭自室のベッドに寝かした。布団を被せて昔のようにとんとん、と布団の上から叩く。そうすればAは寝ていた。
自分は少し可笑しかったのかも知れない。前に芥川君の時に久しぶりに話すのに冷たくされて、怒りが出て妹に初めて銃口を向けた。
そこから、駄目だったのかもしれない。
太宰「ごめん・・・・・・・ごめん、」
Aが眠る部屋から出ていく。そして、執務室で資料を片付けていた。久しぶりに彼女を抱きしめたのに、彼女を初めて叩いた。あんな傷を受けているとは思わなくて自傷をしてるなんて思わなくて、感情の行き場を失って叩いてしまった。
私は自分の手を見つめた。
叩いた時の感触と、罪悪感が静かに頭と躰をぐるぐる駆け巡っていた。
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そして、報告書とか、資料とかをまとめたりしてた。ただ執務室には静寂が流れて、ずっと考えてた。
あのAの躰の傷や痣はなんで出来たのだろうかと。判ればいいのに、判らない。でも、もし学校がそれの原因ならなんで早く気づけなかったのだろうか。
すると、ガチャりと扉が開いたのを聴いて其方を向けば恐る恐る出てくるAが出てきた。自分は静かに手に持っていた万年筆を机に置き、立ち上がった。
太宰「具合は?」
「平気です・・・」
また顔に髪が掛かってる。その髪もそろそろ切らないとならないよね。自分はAの許へ歩み寄れば小さく後ろに下がった。
それに気づいているが、構わずにAに近づき優しく昔のように抱きしめた。
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華紅薇(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!そんな風に言っていただけるとすごく嬉しいです!この話も後編に移りますのでそちらの話もよろしくお願いします!読んで下さりありがとうございます! (2021年10月20日 11時) (レス) id: b469182880 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - この小説本当にめちゃくちゃ大好きです!そして今めちゃくちゃ続きが気になってます、!!なんかキリが悪い所でのコメントですが、応援していることを伝えたかっただけです!これからも楽しく読ませていただきます! (2021年10月20日 2時) (レス) @page50 id: b375adba0d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:魚Aya | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maasasr/
作成日時:2021年9月29日 12時