Episode40 【SHO side】 ページ40
しばらくして、スポーツ飲料を一口だけ飲むと、Aさんはまた少し眠るね、と言い横になった。
「俺…何かできることない？」
「こんなにたくさん買ってきてくれたじゃない。それだけで十分よ。ありがとう」
「でも…まだ熱あるみたいだし、辛そうだし…」
そう言ったものの、こんな状況は初めてで、何をどうしたらいいのか検討もつかない。
「じゃあ、ひとつだけ、ワガママ言ってもいい？」
「もちろん！」
「私が眠るまででいいから、手、握っててくれない？」
そう言うとAさんは布団の隙間からほんの少し右手を出した。
「いいよ」
俺はその手を優しく握った。
いつも、自分のことより他人の世話をしたり心配をしてばっかりで、弱音を吐いたりしないAさんが、具合の悪い時に俺に甘えてくれることが、何より嬉しくて、１人ニヤける。
「5分経ったら離していいからね」
目を閉じる寸前、Aさんはそう呟いた。
それから30分。
俺は彼女の手を握ったままでいる。
時々汗を拭いてあげたり、おでこのシートがちゃんと冷えてるか確認をしたりしながら、ずっと彼女のそばにいた。
Aさんは時々少し辛そうに身じろぎしたりするけれど、ぐっすり眠っている。
彼女の寝顔を見ていたその時、俺は衝動的に立ち上がり、仰向けに眠る彼女の体を覆うような体勢になって、その寝顔を見下ろすように見つめた。
そして少しずつ距離を縮める。
あとほんの数センチで俺の唇が彼女のそれに重なる、と言う時、俺はふと我に返り、自分の顔を左にずらすと、彼女の右頬に触れるか触れないかの口づけをした。
“大好きだよ”の想いと、“早く良くなって欲しい”という気持ちを込めて。
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さや(プロフ) - chihiropooh1123さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！ 頑張って続き書きます！！ (2018年6月11日 0時) (
レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
chihiropooh1123(プロフ) - 凄く楽しませて貰ってます。次回話楽しみにしてます。 (2018年6月10日 15時) (レス) id: 016550d6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SaYaKa | 作成日時：2018年6月2日 2時
