Episode38 ページ38
目を覚ますと、いつの間にか私は自分のベッドで眠っていた。
おでこにひんやりとした感覚を認め、手で触れてみると、そこには冷却シートが貼られている。
「目、覚めた？」
優しくも心配そうな声がして目を向けると、平野くんがベッドの脇に座って私の顔を覗き込んでいる。
「平野くん…あれ？私、どうして…」
「仕事から帰ってきたと思ったら、急に倒れたんだよ。おでこ触ったらすげー熱だし。マジでビビった」
ふと枕もとに視線を移すと、サイドボードには大量の水やスポーツ飲料、そして冷却シートの箱や体温計などが散乱していた。
「これ…買ってきてくれたの？」
「･･･うん。何が欲しいか分かんなかったからとりあえず思いつくもん全部買ってきた。あと、冷蔵庫にゼリーとかヨーグルトもあるし、アイスもあるよ。あと、熱下げる薬も買ってきた。あとは･･･」
おろおろしながらまくしたてる平野くんを見て、私はクスッと笑ってしまう。
「え？何か、おかしい？」
「ううん。ごめんそうじゃなくて。いつもは憎まれ口ばっかりで生意気なのに、今日はやけに優しいなと思って」
「そ、そりゃそうでしょ。急に目の前で倒れられたら誰だって心配するだろ。マジでこのままAさんが死んじゃったらどうしようとか、救急車呼んだ方がいいのかとかいろいろ考えちゃったんだから…」
「そっか。ずいぶん心配させちゃったね。ごめんなさい。でも大丈夫だから。最近ちょっと疲れがたまってたから具合悪くなっちゃったみたい。一晩ゆっくり寝たらきっと大丈夫」
「そっか…。良かった･･･マジで良かった･･･」
そう呟く平野くんを見ていたら、心がじんわりと温かくなった。
辛い時、こうして心配してくれる人がいるってだけで、「大丈夫」って思える。
最初は一緒に暮らすなんて迷惑だなって思ってたけど、救われていたのは私の方かもしれないな…
熱のせいでまだぼんやりする頭で、私はそんなことを考えていた。
Episode39 【SHO side】→←Episode37
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 530人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「King&Prince」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さや(プロフ) - chihiropooh1123さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！ 頑張って続き書きます！！ (2018年6月11日 0時) (
レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
chihiropooh1123(プロフ) - 凄く楽しませて貰ってます。次回話楽しみにしてます。 (2018年6月10日 15時) (レス) id: 016550d6cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：SaYaKa | 作成日時：2018年6月2日 2時
