Episode3 ページ3
「それじゃあ…」
「お茶！！」
「え？」
私の言葉を遮るように、冷たい矢のような声が飛んできて面食らう。
「だから、お茶！！」
「あ、あぁ。お茶、ですね」
私は慌てて楽屋中央のテーブルに準備されていたペットボトルを差し出す。
しかし彼はペットボトルを一瞥すると受け取らずに顔をそむけた。
「蓋」
「え…あ、あぁ…」
どうやら蓋を外して渡せ、ということらしい。
(何なのこの子。さっきまでと全然違う)
苦々しく思いながらも蓋を外して差し出すと、今度は素直に受け取るとそのまま口に運びゴクゴクと飲み始めた。
お茶が流れ込むたびに彼の喉が波打ち、上下する。
(若いわりに意外と男っぽいのね)
横顔に見入っていると飲み終えた彼がペットボトルを押しつけるように私に渡してきた。
そのぶしつけな態度に若干イラッとしながらも、何とか笑顔を作って受け取り蓋を閉める。
「疲れた。ちょっと肩揉んで」
「はい？」
「肩揉んでって言ってんの。何度も言わせないでよ」
「はぁ？何で私があなたの肩を揉まなきゃいけないのよ」
「あんた、マネージャーだろ？しかもまだ新米の」
「確かに私はまだ新米だけど、あなたよりはずいぶん年上なのよ。その口の利き方はどうかと思うけど」
「大して仕事できないのに年だけ取ってるって最低だな」
「はぁぁぁぁ？ちょっともういっぺん言ってみなさいよ！」
「そんなに聞きたきゃ何度でも言ってやるよ。仕事のできない三十路が担当なんてマジで最悪」
「三十路じゃないわよ。まだ２９なんだから」
「変わんねぇじゃん」
「変わります！！２９は２０代なんだから！！」
「あ〜はいはい、分かったから。そうムキになんなよ。大人げねぇな」
ムッカーーーーー
一瞬でもこの子のことをいい子だと思った私がバカだった。
とんだ問題児だわこいつ。
睨みをきかせる私をよそに彼は「ほら、早く肩揉んで」と涼しい顔だ。
大人げないと言われた手前逆らうこともできず、私は彼の後ろに回り肩に手を置いてマッサージを始めた。
その間も「下手くそ」だの「センスがない」だのと文句を言われっぱなしだったわけだけど…。
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さや(プロフ) - chihiropooh1123さん» コメントありがとうございます！嬉しいです！ 頑張って続き書きます！！ (2018年6月11日 0時) (
レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
chihiropooh1123(プロフ) - 凄く楽しませて貰ってます。次回話楽しみにしてます。 (2018年6月10日 15時) (レス) id: 016550d6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SaYaKa | 作成日時：2018年6月2日 2時
