Episode35 ページ35
デビューの日に向けて、メンバーのスケジュールは過酷さを増す。
特に平野くんのスケジュールは殺人的になり、それに伴って私は毎日ベッドに入ってから2秒で眠りに落ちるほど日々疲弊していた。
「……Aさん?Aさん!」
「えっ?」
「どうしたの?ボーッとして…」
気がつくと目の前に平野くんがいて、心配そうに私の顔を覗き込んでいる。
「あ、ごめんごめん。何だっけ?」
「いやだから、今日のこの後のスケジュール教えてって言ったの。マジで大丈夫?顔色良くないけど」
「大丈夫大丈夫!この後ね。ちょっと待ってね」
スケジュール帳をめくりながら小さくため息をつく。
(ダメだ…今日は何だか集中力がない…)
ここ最近睡眠時間が少ないのが災いしてか、今日は頭が働かない。
それでも何とかスケジュールをこなす。
「ただいまー」
日付が変わる頃、ようやくマンションに到着する。
(現場で夕食のケータリングがあって助かった…。今日はご飯作るのしんどい…)
荷物を置いてホッとしたのも束の間、私は思わず「あっ!」と声をあげた。
「ビックリした〜。何だよ突然」
「明日の朝までにメールしとかなきゃいけない案件があるの忘れてた。今から事務所行ってくる」
一度置いた荷物を持ち直して言うと、途端に平野くんの顔が曇る。
「こんな時間に?危ないでしょ。やめなよ」
「そんなわけにもいかないのよ。すぐ帰るから。じゃあね」
そう言い残して部屋を出ると、マンションの前でタクシーを拾い、事務所へと向かう。
誰もいない事務所に着くとフロアの電気をつける。
小さくため息をついたその時、バッグに入れたスマホが震えた。
手に取ってみると、岸くんからのメッセージ受信を知らせる通知だった。
【お疲れ様。もう家かな?】
あの夜以来、仕事以外では敬語を使わなくなった岸くんのメッセージに少なからず脈が速くなる。
【一旦帰宅したんだけど、やり残した仕事を思い出して、今は事務所(^^; 】
そう返信すると、スマホをバッグに戻し、私はデスクに腰をおろした。
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さや(プロフ) - chihiropooh1123さん» コメントありがとうございます!嬉しいです! 頑張って続き書きます!! (2018年6月11日 0時) (レス) id: d50237b6e9 (このIDを非表示/違反報告)
chihiropooh1123(プロフ) - 凄く楽しませて貰ってます。次回話楽しみにしてます。 (2018年6月10日 15時) (レス) id: 016550d6cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:SaYaKa | 作成日時:2018年6月2日 2時