最愛のあなたと【2j3j】【knmc】 (ページ7)

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◆7.幕が下りる？※ ページ7

瞬間、口から
ぽたりと血がこぼれた。

そのまま力が抜け、
膝から崩れ落ちる。

とめどなく、
せりあがってくる血が
溢れつづける。

…なにがおきているのか、わからない。

目を見開いて戸惑いながら
私を支えている彼が視界に入った。

…みたことない顔。

「Aっ…！？」

私の身体を支える
彼の瞳が揺れている。

ゆらゆら、ゆらゆら。

何度も愛しい声によって
紡がれる自分の名前が脳を揺らす。

銀色の月に照らされて、
刀也さんは神聖で美しいものにみえた。

やっぱり、
月とすっぽんだったんだ。

刀也さんはこんなに、
綺麗であたたかなのに。

私は私のためにしか力を使えない、
醜い役立たずだ。

あぁ…もっと、
まともに力を使えてたら、
貴方の傍に居れたのかな。

貴方の幸せも、不幸せも。

なんにもわからないままだったな。

──それでも、
命の恩人で、兄のようで、父のようで、
…私のかみさまだった。

私を支えてくれた刀也さんのことが、
──大好きなんだ。

まるで命の終わりを告げるように、
時計台の鐘が鳴り響く。

いつまでも、脳を焼くように。

…あれ、違う。

私の脳を焼くように熱いのは
刀也さんの涙だ。

冷えていく私のからだには熱すぎるよ。

…ないてるの？

…あ、ちがうのに。

あなたの、あの、わらいごえが。
…ききたいの。

とうやさんに、
しあわせになってほしかったはずなのに。

なんで、わたしは。

なんで？

…わからない。

わからない、けど。

おねがい、どうか

あなたが…

「しあわせに、なっ…」

──あなたが、
しあわせになりますように。

…視界が、思考が、とける。

とぷん、と

しずんだ。