最愛のあなたと【2j3j】【knmc】 (ページ4)

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◆4.黒く染まった？ページ4

お見合いは平民の騎士に合わせ町中のテラスのあるカフェで行われる、
と招待状には書いてあった。

昼時で賑わうテラスから、
一際目を引く紫色を見つけ出す。

…刀也さんだ。

刀也さんは異能を使った私に
気づいていないようだった。

…バレなくてよかった、
なぜかたまに気づかれるから。

彼の目の前には
美しく着飾った女性がいた。

貴族の象徴とも言われる発光しているようにも見える美しい金糸の髪と、不自然なほど黒い瞳を持つ女性だった。

彼女からは頭がくらくらするほど甘ったるい香りが漂い、近づくと空気の重みが変わる感じがした。

…なんだろう、きもちわるい。

すぐに距離を取り、遠くから
談笑する二人を観察する。

女性の方は楽しそうに
頬を赤らめながら、
高い笑い声を響かせていた。

刀也さんは、彼女に
答えるように笑顔を返していた。

しかし目の奥は、
見たことがないほど冷えきっていた。

…すこし、安心した。

彼がいつも私と話すときみたいに鈴を転がすように楽しそうに笑っていたら、どうしようかと思っていた。

まぁ、私にはどうすることもできないけど。

……＿＿日が陰ってきた頃、
２人は席を立ち、カフェを出た。

(帰るのかな。)

…結論から言うと、
私の予想は裏切られた。

彼ら２人は
ホテルに入っていったのだ。

私はその場から
動けなかった。

──こころが黒く、
ゆらめくかんかくがした。