最愛のあなたと【2j3j】【knmc】 (ページ28)

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22.償いの時　side母ページ28

side.母

隣国の小さな村で
私が腹を痛めて生んだ子、A。

私の娘は大きな力を
持って生まれてしまった。

「おかあさん、おけがしたの？
…だいじょうぶだよ、わたしにまかせて！

いたいのいたいのとんでけ～」

子供だましのおまじないが本当に効いたり。

「おやさい、はやくおおきくなるといいねぇ」

季節外れの野菜がすぐに収穫できたり
Aが声に出して望んだことは全て叶った。

それは喜ぶべきものだったのかもしれないけれど、平民の夫婦にはあまりにも大きな授かり物だった。

夫は金遣いの荒い人だったから、Aが金の卵を産む子だと気づいてしまったら…終わりだと思った。

だから、幼いAを連れて国外に逃げた。
静かに普通の子供として育てられるように。

　

…けれど、現実は優しくない。

　

村長「その子供は化け物じゃ！」

村長の前で異能を使ってしまったA。

偏屈な人間の多い辺鄙な村だったから
異能への理解も浅く、すぐに化け物扱いにされた。

しかし、隣国から来た余所者を受け入れてくれる場所などそうそうないし、少ない貯金を使って来た隣国近くのこの村以外に行ける場所などない。

　

なんとしてもここにいられる方法が必要だった。

だからAを化け物にしたてあげる必要があった。
　

Aが化け物でも、私だけはAを飼い慣らせる。だから安全に利用できる。

安全な、金稼ぎに便利な化け物として置いてもらおうと思った。

…気休めにしかならないと分かっていたけれど残りの貯金を全部つぎ込んで異能封じの布切れを買い、Aのマスクにした。

自分から異能を使うことはないように。
　

普通の子になれるように。