最愛のあなたと【2j3j】【knmc】 (ページ21)

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18.⚔️記憶【knmc】ページ21

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…夢をみている。

すぐにそう、自覚した。

この世界に実在しないはずの
幸せな記憶の再上映のような夢だったからだ。

愛しい誰かに出逢った記憶。

笑い合って、
その誰かと過ごした記憶。

かつて、誰よりも
愛しい誰かを守ろうとした記憶。

そして、後悔にまみれた
…守れなかった記憶。

目の前で最愛の貴方が
朽ちていく様をみた。

どうすることもできなかった。

どれだけ鍛練を積もうが、
彼女の異能に勝ることはなかった。

彼女が告げる言葉は
絶対的な運命として世界に刻まれた。

残酷なほどに
美しい貴方の死に顔が
脳裏にこびりついている。

貴方の濁ってしまった瞳には
僕が映らなかった。

これ以上に不幸なことなど、
最悪の結末などないと思えた。

時計台の鐘が脳に鳴り響く。

ごぉん、ごぉんと

淡々と、
僕の心なんて知らずに。

……それから、僕はどうしたっけ？

彼女は最期に何と言っていた？

『あなたが──────。』

もう、その世界で叶うはずのない
願いを彼女は口にしていた。

身勝手な願いだった。

…やりなおしたい。

彼女を今度こそ守りたい。

いや違う。

そんな綺麗な感情じゃない。

僕は─────。

　「Aのことを幸せにしたい。」

他の誰でもない、僕自身が。

それが僕の存在意義であり、幸福だから。

そのとき、思考が沈む感覚がした。

───きっと、これが夢の終わりだ。

総ては虚空に還り、虚空から生まれる。

この夢の終わりも、
きっと何かのはじまりなのだろう。