最愛のあなたと【2j3j】【knmc】 (ページ17)

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◇16．切願と、おもしれぇ女ページ17

残った腕の霧が
刀也さんにさらに絡み付いていく。

早くしないと、最悪───。

(…そんなの、絶対に嫌だ！！)

胸が、喉が熱くなる。

頭にがんがんと何かが
響くような感覚がする。

──たぶん、私は限界だ。

今日は異能を使いすぎている。
どうなるかわからない。

(……それでも)

「───刀也さんの、苦しみを消して。」

お願い、消えろ、
“消えろ”！

強く念じるたびに体の色んなところが痛んだ。

……───────

どれくらい祈ったか分からない。

視界がぼやけ始めたとき、
朝日が差し込んできて、
霧が消えた刀也さんの寝姿が見えた。

(あぁ、よかった。)

まだ目を覚まさない
刀也さんの口が動いた。

「………A」

言葉を理解する前に
大好きな声が
私の意識を奪っていった。

全身が脱力し、暗転した。

「Aちゃんっ……！？

……あぁよかった、寝てるだけっすね。

それにしても、本当に
こんな奇跡みたいな力を持ってる
人間がいたなんて。」

───面白いっすねぇ…。

意識のある“人間”がいない部屋の中、
静かに笑う、“□□□”がいた。