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◇15．黒霧の檻 ページ16
真っ暗の部屋の
大きなベッドで
月明かりに照らされる
私の、大切な。
(…刀也さんだ。)
何年経っても、
時が戻っても、変わらない。
彼がそこにいる。
しかし、彼の周りには
違和感があった。
(右目と腕が……黒い？)
黒い霧のような煙のような
なにかが刀也さんに絡み付いていた。
刀也さんは目を固く閉じ、
苦しんでいる。
うなされながら眠っているようだ。
「誰かに、呪いをかけられたみたいなんすよ。…治せますか、Aちゃん。」
私はガクさんの目を真っ直ぐに見つめ、ゆっくりと頷いた。
…大丈夫、刀也さんのことは
何があっても絶対に助ける。
私がどうなってもいい。
ガクさんに近寄り、手を取る。
「えっ！？
ちょっ…Aちゃん！？」
ガクさんの指を借りて
自分のマスクを取る。
小走りで大きなベッドに近づく。
「……Aちゃん？」
目の前には憎い黒に
閉じ込められた刀也さんがいる。
「…貴方の苦しみが晴れますように。」
すぐに右目の黒い霧が霧散した。
けど、
(腕の霧が…消えない…！)
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作者名：継森 | 作成日時：2023年12月13日 23時
