最愛のあなたと【2j3j】【knmc】 (ページ13)

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◇12．黒に惑うページ13

クモの巣を被った鏡を見ると、
真っ白なワンピースと同化するように青白い、
私の肌が月明かりに照らされ始めていた。

──黒色が、私の部屋を侵食していく。

どす黒い夜の闇のせいで
繰り返しの前のことを
思い出してしまう。

(また、刀也さんに会いたい。でもこんな私が…)

会っていいのかな。

保護してもらった身分で、
勝手に嫉妬して、
目の前で血を吐いて倒れて。

そのうえ、
時が戻っても、おこがましくも
貴方を好きでいることを
やめられなかった醜い女。

もう、私は庇護されるべき
か弱い少女ではないのに。

(貴方にまたみつけてほしい、だなんて。)

さすがに、図々しいって
刀也さんも怒るかな？

怒られてもいいから会いたいな。

貴方の笑い声がききたいな。

鏡の中の自分が
弱々しく泣いている。

…きっと後悔しているんだ。

なんであんなことをしたのかわからない。

きっとあのときは冷静じゃなかった。

だからといって、あんなに
取り乱すことがあっただろうか。

こういう暮らしをしていたから
我慢することは得意なのに。

(なのに、なんで…)

意味の分からない涙が立て続けに溢れてくる。

───その時、ドアが開く音がした。