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「……あった……」
2045番。
それがAの受験番号だった。
数えるのも億劫な程の番号の中、自分を主張するように浮き出て見えるそれに、目を瞬かせる。
「受かっ……た?僕が?」
__僕みたいな奴が?東大に?
嬉しさ何て二の次三の次で、申し訳なさの方が大きかった。
同じクラスの親友は連番で受けたはず。
なのに。
どうして。
彼の番号がない?
「……A」
「っ……」
隣から聞こえる優しい声に目を向けると、笑っていた。
寂しそうに、嬉しそうに、微笑んでいた。
「おめでとう」
「……」
何も言えなかった。
ただ俯いて、彼の肩に頭を預ける事しか出来なかった。
「……ごめんな、一緒って言ったのに」
「……っう……」
頭を撫でる冷たい手に、抑えていた涙が一気に流れていく。
謝って欲しかったわけじゃない。
優しくして欲しかったわけじゃない。
謝りたいのは僕の方だ。
罵詈雑言を浴びるのも僕だ。
僕達には、二次試験何てない。
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作者名:夏みかん | 作成日時:2020年5月30日 12時