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「んで、Aはなに描いたわけ？」
「……」
「A？」
絵をじっと見つめて黙りこくってしまった。
代わりにラウールが口を開く。
「夢に出てくるねこちゃんなんだって」
「ラウールに聞いてない」
25歳のいい大人が16歳に牙を剥いている。
「まぁまぁ聞いて。Aちゃん最近夢見悪いみたいで、またフラッシュバックが起こりかねないって、あっ、阿部ちゃん情報ね？
それで、言葉にするのは辛そうだから、ちょっと描いてみよっかって」
宥めて丁寧に説明するラウールの方がよっぽど大人びている。
「…A、俺初耳なんだけど」
「だいじょぶ」
急激にトーンの下がった渡辺の声に物怖じすることなく言葉に食いつく。
「だいじょばないから」
「いい」
「もう、ぜんっぜんよくないから」
目をかっぴらいて首を横に振る。
その顔が面白かったのか、お嬢はあはっ、と笑い声を漏らす。
「笑い事じゃないんだけど、A。いつから？なんで俺には言わないわけ？涼太は知ってんの？」
「ぅ、あ……、」
呆れたように、静かに怒っている。
言葉に詰まるお嬢は言いたいことはたくさんあって、
宮舘には「翔太には言わないでね」と言われていて、お嬢にとって一番の理解者である渡辺に言えないのは心苦しくて、それでも宮舘に「翔太は今ね、大切なお仕事抱えてるから」と言われてしまったらそれまでだった。
「A？答えらんない？」
先程までの尖りは消えて、目線を合わせないお嬢を心配するように、少し優しく聞いた。
「あんまり言わないでやってよ、翔太」
ほんの少し空いた襖から阿部が顔を出す。
張り詰めていた糸が切れ、ラウールが小さく安心したように息を吐く音が聞こえる。
「べべ、」
「ごめんねぇ、お嬢。俺が描かせなきゃよかったね。嫌なこと思い出した？」
お嬢の前にちょこんとしゃがみこんで目線を合わせる。
「へいき、ほんとにへいき。ちょっと怖いだけ」
「寝るのが？」
控えめに首を縦に揺らす。
「そっかーー、ちょっとカウンセリングしようか」
「ちょっと待てよ阿部、俺は「翔太、舘さんが口止めしてたみたいだよ。翔太はお嬢のことを一番わかってるから過保護が暴走するってね」
黙りこくった渡辺に爽やかな笑みを浮かべた。
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霞(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます！これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります！ (2023年1月2日 23時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます！励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています！！百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります！無理せず更新頑張って下さい！ (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます！マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2022年11月30日 1時
