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「あら、お嬢もおはようございます」



白々しい、今気づいたかのような態度。ニコッと胡散臭い笑顔、口元は笑っていても目は光がなく不気味だ。




「おはよう、…ふかざわ」


絞り出すようにか細い声。



「昨日目黒居たんですか?」


「Aが、訪ねたの」


「へぇ、部屋の中だけですか?」

「送ってくれた」


「おや珍しい」


次第に尻すぼみになっていくお嬢の言葉。
圧迫感のあるこの深澤の雰囲気はいつまで経っても慣れない。



「めめやさしい、から」



「えーー、そうですかね?」



どこか信用していないような、いつでも探ってくるようなこの態度がお嬢を怖がらせる要因だった。





「ふっか、圧迫面接みたいだよ。お嬢怖がってる」


「ありゃ、それは失礼しました」




阿部がお嬢の背中をそっとさすって深澤を宥める。
悪気のないような口ぶりに阿部はため息をついた。




「おぉ!ラウール居たんか、おはようさん」


「……おはよう康二くん」



暖簾の下にぬっと立っていた長身のラウール。
声色も顔色も元気がないように見える。



「なんや元気ないな?初めての仕事怖かったんか?」

「んなわけないでしょ!ご飯!!」



売り言葉に買い言葉、向井の言葉に反発するように言い放った。




「深澤くんおはようございます」

「おはようラウール、昨日はお疲れさま」


「あの、」



「ん?どーした?」



躊躇いがちに開かれた薄い唇。



「その、えっと…あーー、」

「ラウール、俺そういうの嫌いって前言ったよね」



「あっ、…すみません。その、蓮くんの名前が聞こえて、あの、ぼく様子が知りたくて」



名だけといえど、若頭補佐。彼には深澤の教育がなされているのだろう。敬語や従順な態度、勝気なラウールの面影はない。




「んー、俺が見たわけじゃないし、お嬢に聞きな。……ラウール、いつまでも目黒に夢を抱くなよ」


いつの間にか向井が入れたブラックコーヒーを手にして、深澤は調理場を後にした。




「……はい」





この瞬間だけ、いつも大人びいている彼が、思春期さながらの、未来を前にして彷徨う少年のように見えた。



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(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります! (2023年1月2日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます!励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています!!百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります!無理せず更新頑張って下さい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年11月30日 1時

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