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背中を優しく摩る。トントン、と幼児を寝かしつけるときのように暖かく。
「大丈夫大丈夫」
「めめぇ……」
目黒の黒い服をぎゅっと掴んで離さない。胸の辺りはすっかり涙で濡れてしまっていて、微妙に色が変化している。
「Aちゃん、寝るの怖い？ここでお喋りしてる？」
小さな机と座布団。押し入れと、一枚、布団を敷くスペースがあるばかりの簡素な部屋。
窓はなく、月は見えない。
「おしゃべり……、でも、お部屋いないと二人が心配する」
二人がお嬢をひどく、過保護に世話しているように、お嬢もそれと同じくらい二人が好きで、大切な唯一無二の世話係なのだ。
「そっか、じゃあ部屋まで送るよ」
「だめ、めめはお部屋いないと」
兎のように真っ赤で、泣き腫らした目。
「……大丈夫だよ」
目黒は苦しげに言う。彼は必要最低限の用事以外は部屋から出ることは無い。
心も身体も瀕死の状態で深澤に拾われ、若頭補佐としてここに身を置いているが、彼もラウールと同じく名だけである。
「だめ、苦しいことさせたくない」
「大丈夫、誰もいないでしょ？」
幹部であっても、人と会うことをとにかく嫌う極度の人間不信。目黒が屋敷の中で、唯一心を開くのはこのお嬢だけ。
「……角まででいいよ。あとは一人でへいき」
「うん、ありがとう」
お嬢は目黒をよく理解しているし、目黒もお嬢をよく分かっていた。
お互いに深い事情を隅から隅まで知ってるわけでは無いのに、何故か互いの心に痛々しく残った傷を慰め合うことは知っていた。
「Aちゃん、抱っこする？」
「もう平気だもん、」
「えー、ほんとに？」
「ほんとだもん、Aもう12歳なんだから」
「あはっ、そうだった」
闇で覆われた彼の前なら、変に大人びずに、無意識に感情を消さずに、何故か実年齢よりも幼く、子供のように居られること。
お嬢はそれが不思議だった。
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霞(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます！これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります！ (2023年1月2日 23時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます！励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています！！百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります！無理せず更新頑張って下さい！ (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます！マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2022年11月30日 1時
