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今まで黙って見ていた岩本が口を開く。
空気がピリッと引き締まるのを感じる、若くして組を立ち上げ、仕切るだけある。
深澤もお巫山戯がすぎたと言いたげに引き下がった。
「Aの存在が勘づかれた」
「それは、」
____お嬢の存在は知られてはならない。
それは吹雪組、唯一の破られてはならない掟。
「始末しろ、全員で」
圧のある瞳、重厚感のある声。5人の沈黙は肯定を意味する。
「照兄、情報どこから漏れたん?」
雰囲気に臆することなく向井は尋ねる。
「さっき琳寧にSixTONESへの依頼を頼んだ」
「まだ分からへんのや」
「あぁ」
組長として、自分自身が定めた唯一の掟が、破られようとしている。瞳を閉じて、熱くなりかけた頭を冷ます、冷静さを忘れない岩本。
岩本の用心棒、菅田琳寧。
卓越した身体能力とその人懐っこさで岩本に買われた。幹部以外で離れのこの屋敷入ることが許されている数少ない人間。
情報屋 SixTONES
何処にも属さず、裏社会に身を秘めている謎多き集団。
敵か味方か、それすらも分からないが、信用出来る情報屋だ。
ただ一つ、敵に回せば"必ず最悪の結果"が訪れる、と。
「情報待ちなの?正面突破?」
こんな時でも目の中のキラキラした光が消えないのはラウールだけであろう。
「正面突破だ。犯人探しはいつでも出来る。まずはAのことを知る組織がいるという事実を消す」
「りょーかい!」
「え、岩本さん、まさかラウールも行かせる気?」
かったるげに聞いていた深澤は怪訝そうな顔を岩本へ。
「いつまでも若頭補佐が家に篭ってんのはおかしいだろ」
熱烈な深澤の視線に目も向けず、淡々と答える。
「そりゃそうだけど、まだ未成年「俺たちだって未成年でこの世界に出てきただろ?同じだ、言わせんな」
裏社会の人間として、染め上げるにはあまりに無邪気。
彼はそういう少年だから、深澤のように止めに入る人間もいる。
「大丈夫だって!銃の使い方も体術も舘さんに指導してもらったし、僕抗争なんて沢山見てきたよ」
アブナイ話をしても、瞳の輝きが失われないのは、彼の中でこんな日常は幼い頃から当たり前だからなのである。
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霞(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります! (2023年1月2日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます!励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています!!百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります!無理せず更新頑張って下さい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霞 | 作成日時:2022年11月30日 1時