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「だて、」
乾いた小さな声が部屋に響く。
畳が敷かれた広めの部屋。内装はシンプルなデザインだが、決して質素とは言えない。
時刻は午前3時48分。
イイコはまだ眠っていてもいい時間帯。
「はいはい、お嬢。俺を呼んだかな?」
気品のある声色。
早朝とは思えない通りの良い声。スっと音なく開いた襖の裏で夜通し起きていたように思える。
「だて、こわい夢」
布団からムクリと起き上がった少女が"だて"と呼ばれた青年に再び声をかける。
少女が薄紅色の浴衣をゆったりと着ているのに対して、彼が身に纏うのはパリッとした白いワイシャツ。気品のある顔立ちと対称的に緩んだ赤いネクタイ。
「見ちゃったかぁ、。大丈夫大丈夫、おいで」
また、音なく近づき、小さな身体に触れることは無理強いせず、左腕に赤薔薇咲く腕を広げ、待つ。
彼女はそれが当たり前であるかのように、左手の赤薔薇をまるで怖がらずに、その鍛え上げられた身体にすぐさま抱きついた。
切りそろえられた艶やかな黒髪。
少女のその髪を手で解きほぐすようにして、少女の心に染み付いた恐怖を気を紛らわせる。
「……だて、しょうたは?」
「ん〜?翔太はお仕事だよ」
布団から抜け出した身体は徐々に冷めてきて、身震いすると、大きな"だて"の身体が少女を包んだ。
温かいその体温と、声色に落ち着いてきたようだ。
「しょうた帰ってくる?」
「帰ってくるよ」
小さなその身体から一瞬目を離して、彼の鋭い目は光を失った。どこか、含みのある言葉。
「帰ってくるまで、だてが側にいて」
「もちろん、お嬢」
彼の空気が変わったことに彼女は気づいている。
なにを危惧しているのか分かっているかのように返答した、やけに大人びた少女。
膝の上に載せたその小さなお姫様を、割れ物に触れるかのように繊細に、優しく、愛情深く抱きしめた。
朝が来るまでまだ長い。
この
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霞(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります! (2023年1月2日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます!励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています!!百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります!無理せず更新頑張って下さい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
霞(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霞 | 作成日時:2022年11月30日 1時