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水が飲みたくなって、部屋の外に出た。
廊下は薄暗くて、月光の灯りだけが頼り。


調理場まで足を運んでも、屋敷の誰にも会うことは無かった。俺にとっては有難い。

誰かに会ったら、きっと身体の震えは止まらない。
ラウールになんか、会ってみろ、



……いや、そもそも(蓮くん)には会う資格なんか無い。




「……はぁ」




喉の乾きを一瞬で水が潤す。
ここ最近、寝れない日が増えた。

きっと、Aちゃんが来てくれないからだ。


お嬢は不思議な子で、俺と同じくらい、それよりも辛い思いをしてるのに、俺みたいに拗れたりしない。

Aちゃんは俺の心を優しく溶かす。

だから、





「れんくん、?」




暖簾を上げて、金髪のお前(ラウール)が顔を出した。
最後に見た時より、背がずっと高くなっていて、越されるのも遠くない話だ、と呑気に思った。





「……ラウー、ル」



声は掠れていた。
水を飲んで潤ったはずなのに、ラウールに水分を持ってかれてしまったように乾いてしかたない。


コップを持つ手が揺れる。
嫌な揺れ方だ、こんな姿をコイツに見せたくない。





「蓮くん、震えてる、

どうしよう、ボク、その、……たくさん言いたいことがあって、でも、いやだよね、ごめんごめん本当に、ここにいない方がいいよね」





眉を八の字に曲げて困っている。
俺が、困らせてしまっている。



「、だいじょっ……ラウ……待って」



お前は悪くないと言ってやりたいのに、唇は震えるばかりで俺の言葉を紡いでくれない。



日本人離れした綺麗な瞳に涙がたまる。
長いまつ毛をはためかせて。






______「泣くな、ラウール」






あの蒸し暑い夏、お前に言ったあの言葉が、鮮やかに蘇る。


同じように、強い俺でお前の前に立ちたいのに、力が入らない。押し寄せる恐怖に、身体は身を任せてしまっていて止めることなどできない。







「蓮くん、れんくん!!」




冷静な脳裏と、裏腹に呼吸は浅くなっていく。






支えきれなくなった身体をふらつかせた俺に慌てるラウール。

コップが割れた音がする。
裸足で歩くんじゃなかった、少し切れて血が出てる。





ラウールはきっと、抱き寄せて落ち着かせてやりたいのに、自分が近づいたらもっと酷くなってしまうことをどこかで理解している。




だから、お前は近づかない。







……16歳に気を使わせて、マジで情けねぇ。




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(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります! (2023年1月2日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます!励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています!!百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります!無理せず更新頑張って下さい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年11月30日 1時

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