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「A覚えてないよ」


「すごく酷いことだったから、危険だってAの身体が判断して忘れちゃったんだよ」


お嬢を自分の筋肉質の胸に閉じ込めたまま、まるで外の世界から遮断してしまうように。





「しょうたが助けてくれたの?」




「うん、翔太が助けたんだよ」






「じゃあ、しょうたはずっとAのヒーローなんだね」



固くなった表情を和らげて優しく笑う。




「あはっ、確かに。翔太はずっと離れないで守ってくれるからね」




強面の顔には似合わない可愛らしい笑い声を上げて、お嬢の髪を根元から毛先までとくようにして撫でた。




「ねぇひかる」


「なぁに?」



チョコレートのように甘い声。
吹雪組組長のこんな姿はお嬢以外見たことがないだろう。




「いつ教えてくれる?Aが覚えてないこと」




眉がぴくりと反応した。





「……いつかは話さないとね」




「いつ?」



岩本は約束を破るような人間では無いことは重々承知の上で、明確な数字をお嬢は欲しがった。






「……じゃあ、17歳になったらにしようか。そしたら教えてあげる」




約束ね、といつも通りの優しい声で小指を差し出す。お嬢の小さく細い小指がそれに絡む。



「うん、約束」



ふわりと微笑んだ後、数回眠たげに目をぱちぱちとさせて欠伸をした。岩本の体温が眠気を促進させたみたいだ。



「ふふっ、寝ようねA」



「しょうたと、だて」



半分以上閉じかけた目をこじ開けようとしながら言う。
そんな健気な様子に岩本はまた愛しさを覚えて笑いが込み上げてくるのだが、必死なお嬢を笑うのも可哀想なので、堪えて。





「大丈夫、起きたら傍に居るよ」





岩本が布団に寝かしつけ、そのまま襖をそっと閉めて退室した。



午前四時過ぎの話である。




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(プロフ) - takkimakkiさん» 嬉しいコメントありがとうございます!これからも素敵な百合組お届けできるように頑張ります! (2023年1月2日 23時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - まなみんさん» コメントありがとうございます!励みになります( ¨̮ ) (2023年1月2日 23時) (レス) @page30 id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
takkimakki(プロフ) - すごく好きなお話です。ころからも楽しみにしています!!百合組、素敵です。 (2022年12月29日 10時) (レス) @page34 id: ff744b84c3 (このIDを非表示/違反報告)
まなみん(プロフ) - 続きが気になります!無理せず更新頑張って下さい! (2022年12月11日 8時) (レス) id: 5b5d40fc7f (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雪姫さん» ありがとうございます!マイペースですが、更新頑張ります。 (2022年12月5日 0時) (レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年11月30日 1時

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