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「せかい。……じゃあ、この力、特別じゃないの？」
「そうね。私の住む世界でこれは特別じゃない。
魔女も魔法使いもたくさんいて、魔法を習う学校だってあるわ。
貴方は変じゃない、彼らと少し違うだけ。人はね、自分と違うものを見ると恐ろしくなって排除したくなるのよ。
まぁ、なんというか、おチビちゃんにはもっと相応しい場所があるわ。」
たくさん、いる。わたしは変じゃない。
「……そうねぇ。」
考え込むようにしてその美しい魔女は呟いた。
「おチビちゃん、」
「…ん」
おチビちゃんとは自分のことかと、Aは顔を上げる。
「お家は何処？」
今日会ったばかりの赤の他人。
ただ、自分と同じ力を持っているだけで、信用できるかどうかも分からない、なのに
「向かいの角を曲がって、3つ目の家。深い緑色の屋根がある家」
「ご丁寧にありがとう、行きましょうか」
有無言わせず、彼女はAの小さな手をそっと、でも意志を持って強く引く。
カツカツと彼女のヒールの音が品良く響く。
「ねぇ、何するつもりなの」
得体の知れないこの魔女に思わず聞いてしまった。
「貴方のご両親とお話するだけよ」
悪戯っぽく、艶やかに笑った。
_______________
「なんで、あんなことしたの」
「あら、そっちの方がいいかと思って」
Aの目の前で魔女は呑気に答える。
＿＿＿＿あんなこと、とはつい先程起こった家出宣言である。
彼女は家に乗り込むや否や自己紹介も程々に、両親に向かって、Aを引き取らせてほしいと、申し出た。
自分が魔女であり、Aはここにいるより自分といた方がマシな生活ができるだろう、と言い放ったのだ。
両親は気味の悪い力を使うAをよく思っていなかったから、悲しむどころか、娘に似たトンチキな女が引き取ってくれることをむしろ大いに喜んだ。
近くで話を聞いていた姉のクロエだけが、寂しそうに、今にも泣き出しそうになっていた。
言われるがままに、荷物をまとめるAにクロエが「本当に良かった。きっともう大丈夫よ。元気で」と寂しそうに笑って、姉らしく優しいハグをした。
クロエの左胸には両親から貰った燕尾色の宝石が付いたブローチがきらきらと輝いていたのを、何故か覚えている。
二度と、帰ることはないだろう。
両親と魔女の間の約束だ。
Aは、名前も知らぬこの魔女に手を引かれ、この時を境に魔法界で生きていく。
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霞(プロフ) - raitisayaseさん» 遅くなりました💦コメントありがとうございます！嬉しいです、カメさんですが頑張ります！！ (2022年9月20日 21時) (
レス) id: 15ecf1a3d4 (このIDを非表示/違反報告)
raitisayase(プロフ) - 続が楽しみです！頑張って下さい。 (2021年12月4日 21時) (レス) @page34 id: 9634a3802d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霞 | 作成日時：2021年1月10日 13時
