探偵社に居た藤原さんは＿＿【5】【文豪ストレイドッグス】

三十四幕 ページ35

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結局...物事の1つの出来事なんて、時間が経てば人々から直ぐに忘れ去られるものだ。この事だってもうどうでもいいと感じている人はちらほらいるんだ。






『それでも、私は...やっぱりこの事はどうしても忘れられなんだよ。』






前まではいつの日かの記憶なんて直ぐに無くなっていた。依頼者の顔も名前も声も...全部何も無かったかのようにさっぱり消えて無くなっている。





1番の薄情者は私だって知らされるものだった。だから、忘れる前に全部日記の様に紙に書いていた



その日の事をこと細かく描き尽くした。そのせいか私の部屋は本の山なんだ。棚に収まらないほどに描き尽くしていたからね。




あ、別に私は記憶は悪くなんてないむしろ、いい方だ。何らかの影響でこうなったってよく知っている



いつの日か...今持っている"私の記憶"が全て消えてなくなってしまう。そんな日が来るんだって考えるのそしたら直弥さんや伽耶、



乱歩にナオミ達...それに啄木の事まで全て忘れていってしまうんだって思っちゃったの。




『そんなの...寂しいものだ。もし私が全て忘れたならきっとそこにいる"私"は別の存在だね』




置いてかれるのは嫌だ。でも、置いていくのも嫌だなぁ...





ほんと私って何処までも傲慢でどうしようもない人間だなぁ。






『でもね、でもね！最近驚く事があったの。それはね今ある記憶全部覚えているの。無くなっちゃった記憶は思い出せないけれどもそれでも...もう忘れる事は無いの』






驚いたし嬉しかったんだ。私はこれで...もう忘れるのを怯える必要は無いんだって





今を...大切に出来るって分かったんだ。







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