友達だからさ。 ページ50
「……どうして。
どうしてそれ相手にそこまでやるのよ！！
あんたはつい最近あったばかりの人間でしょ！？
どうして……！！」
「どうして？
そうだなあ。
まず、俺とガレットは友達だからさ。
友達を助けてあげるのは
当然だろ？
……それと虐待は特別許せない質でね。
それこそ、
殺したいくらいにな。
これでも結構我慢してるんだぜ？
俺が本能で動く阿呆じゃなくて良かったなぁ。
今頃お前は頭と胴体がお別れしてただろうね。」
女の首に出しっぱなしだった鎌を当ててやると
息を引き攣らせ顔を青くした。
そりゃあ、
自分でも驚くほど低いトーンで話してるし、
殺気もダダ漏れだろうから怖いよねー。
「さてと、
あとはグラムサイトの連中に任せようぜ。
外で待ってようか。」
「う、うん。」
3人一緒に外に出る。
なんか女が喚いているが、
気にしなーい、気にしなーい。
グラムサイトが到着するまで
どうしようかなと空を仰ぐと
ボリジが手を握ってきた。
お？
どうしたんだい？
「なんでもない。
……わけでもないけど、
その、少し握ってていいかな。」
「構わないさ。
話したくないなら無理には聞かないけど、
何かあったなら言ってくれよ。
君に言われたことを
そのまま返すようだけど、
俺は君の彼女なんだから。」
「…うん。
ありがとう。」
握り返した手袋越しの恋人の手は
いつもより少し冷たく、震えている気がした。
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
「それこそ、
殺したいくらいにな。」
そう言い放ったらいむに
びくりと肩を揺らす。
今まで感じたことも無いくらいの
殺気が皮膚もろとも空気を凍りつかせる。
酷く冷たく鋭い圧倒的な殺意と憎悪。
これだけで人を殺してしまいそうだ。
そんな彼女を止めてあげたいけど、
体が動かない。
呼吸すらまともにできない。
自分に向けられた殺気でもないのに、
ここまで気圧されるとは。
いや、これは彼女の思いが強いんだ。
恵まれた環境で育ったオレにはわからない、
何かとてつもなく重い思いだ。
もはや、別人の域だ。
3人一緒に外に出る。
ガレットの母親が居ないからか、
らいむはもう殺気をしまっていた。
いつもの彼女だ。
ああよかった。
もう二度といつもの彼女に
戻ってくれないかもしれないと
頭の端で考えてしまっていたんだ。
でも。
彼女の手を握る。
手袋越しでも暖かな君の手。
もう少し、
もう少しだけ握っていてもいいかな。
君がどこにもいなくなってしまわないよう……。
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作者名：鞦韆少年 | 作成日時：2018年12月9日 19時
