剥がせ！化けの皮！！ ページ48
「お前自分の息子を何だと思ってんだ？」
ぴしり、と。
ガレットの母親の纏う空気が凍りついた。
「……なんの事だかわからないわね」
笑顔を絶やさずその女は言った。
ああ、恐ろしい。
畳み掛けるように俺は続ける。
「いやまあ、人様の家庭の事情に
首を突っ込む気はなかったんだけどねぇ。
こんなに友人が怯えてるのを
見て見ぬふりできるほど根性座ってない。
それに……
虐待は俺がこの世で2番目に許せないことだからな。
彼の心を勝手に覗いた分はしっかり助けるぜ」
「虐待？
何故私がそんなことを？
言い掛かりはよして頂戴。」
「こっちこそ見え透いた嘘は止めてほしい。
それに理由なら
やった本人が1番わかっているだろ。
何故俺がいちいち言わなくちゃならない？
……ま、そんなに認めたくないなら
何をしたか一つ一つあげていこうか。
一昨日は火がついた煙草を彼の顔面に押し当てた後、
叩く、蹴る等の暴力。
その前は皿で殴り、
割れた皿の破片の上に投げ飛ばして、
理不尽な罵詈雑言を喚き散らした後、
後片付けをさせる。
他にも色々やってんなぁ……。
混ぜたらいけない薬品混ぜてガスを発生させた
密室に閉じこめたりさ。」
「それが何？
全部躾よ、躾。
だって私は母親だもの。
子供を躾けるのは親の仕事でしょう？
子供も育てたことないガキが
好き勝手喚いてるんじゃないわよ。
それが無価値で疫病神だって、
しっかり躾けてるのよ。」
……へぇ。
無価値で疫病神、か。
うーん、俺とってもキレそう。
だけど、もう少し我慢、我慢。
「おやおや、躾ですか。
なるほど、なるほど。
じゃあガレットの脚を包丁で刺すのも、
首を絞めるのも、
灰皿で頭を殴るのも、
全部、全部、躾だと。
虐待ではないと言い張るんですね。」
「もちろんよ。
それ以外に何かあるの？」
「んー、特にないです。
もう充分かな。
…で、聞いてただろラビジ。
証拠はバッチリだぜ。」
トン。と、
テーブルの上に例のくまのキーホルダーを置く。
ザザ……とノイズと共にキーホルダーから
ラビジの声が聞こえた。
「らいむサン…気づいてたんですカ？」
「おいおい、俺を舐めちゃいけないぜ？
聞き漏れが無いように録音までしてるのも
わかってんだぜ？
その音源、あとで寄越せよ？」
「は？
ねぇらいむ、
それ確認済みって……」
「言っただろ？
確認済みだって。
誰も
『盗聴器が仕掛けられてないことを確認済みだ』
とは言ってない」
「なんて屁理屈！」
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作者名：鞦韆少年 | 作成日時：2018年12月9日 19時
