ひもじいさん。 ページ5
なんだなんだ！？都会って怖いな！？？
するとスライディングしたそのままの体勢でおじいさんは話し始めた。いや、起き上がるなりなんなりしてから話してくれ。
「突然すまない若者よ……！どうかこの老いぼれにそのプリンを……！！」
ぐぎゅるるるるるるる……と、おじいさんの腹の虫が盛大に鳴いている。なるほど。お腹がすいてるんだな。仕方ない。そんなに腹を好かせている人に見せびらかしながら食べられるほど無神経でもなければ鬼でもない。……悪魔だが。
「…いいですよ。美味しいものは分け合って食べた方が美味しいらしいですからね。」
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はい、と隣に座ったおじいさんにプリンを渡す。おじいさんは半分泣きながら、「久々の食べ物じゃ〜！」とか言って早々に2つ目に手をかけ……ってちょっと待った。そんなに食べていいとは言ってな…………もういいや、なんか幸せそうだし。
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結局残ってた9個全部食べられた。満足そうなおじいさん。うん、満足ならいいんだ…………。
「ところでおじいさん。どうしてそんなにお腹が空いていたんです？」
「……いやね、“さがしもの”をしてたんじゃよ。だが、なかなか見つからんくての……。世界を何周もして、見つからないと諦めて帰ってきたら今さっきここで見つけたんじゃ。」
「へぇ〜。そういうの、遠く東の国では、灯台もと暗しっていうらしいですよね。とんだ災難でしたね。お疲れ様です、おじいさん。」
「まあ、世界の事情を知れたから、五分五分ってところじゃろう。」
ふぉっふぉっふぉ。と呑気に笑い出す。……大丈夫かな、このおじいさん。呑気に笑うところじゃない気はするのだが。
「君は見たところ、ここの住人じゃなさそうじゃの。」
「ああ、ここの学校に通うために来たんだ。」
「そうか、そうか。
君なら入学試験も合格できるじゃろう。」
「……え、試験あるの？」
「あれ、知らなかったかの？」
「全然。
田舎から風の噂を頼りにここまで来たもんで。」
「よし、ならば、着いて来るが良い。」
「？？？」
「なに、ただのプリンのお礼じゃよ。」
そう言っておじいさんはニヤリと笑った。
……えっと、信じていいのかな、これ。
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作者名：鞦韆少年 | 作成日時：2018年12月9日 19時
