嘘吐きは一途である (ページ7)

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その杖が意味するもの。
それは『得たものは世界を得る』というもの。
そんな大層な伝説が着いたのも，ターフェの魔力を奪い取ったからだ。
だが…，

「それは使い手が伴えばの話だ」

男の話は正解だ。
そしてその杖が扱える人物はこの場に居ない。
…かの様に思われた。
ターフェが半ば強引に杖を掴む。
触れても何事もないその様子はフィオにとって異様だった。
Aを引き寄せ，魔法を発動する。

「盾(ブクリエ)」

だが，そんな初級魔法では防ぎきれない。

「伏せろ！」

それもまた，彼の作戦の範囲内。
彼は態と攻撃を受けたのである。
その場の気温が数度下がった様な気すらする。
走りながら話を続ける。

「待ってくださいターフェ！！
早く手当てを…」
『君さぁ，何で杖が使えないのにあんな無茶をしたの？』

怒りの含まれる声音に体が強張る。
彼女にとって最大の地雷は，愛するターフェが傷つく事なのだ。

『僕もアルカンジュ出身だから知っているんだけど，その杖はすごい力を秘めているんでしょ？
そんなすんご～い杖を君がちゃんと使いこなしてるんなら，国が戦争で負けるわけがないじゃん。
簡単な話だよ』
「大方…その杖を制御するために学園に来たってところかな？」

満点回答ともいえる其の言葉たちにぐうの音も出ないフィオ。
そんな様子を見てターフェは追い打ちをかけるように言葉を続ける。

「ともかく…その杖を見せればビビって相手が逃げると思っていたのなら，君の頭はお花畑だな。
ショートケーキより甘いお姫様だ。」

少し言い過ぎたのでは。
そんな懸念をマスグラが感じる中，フィオは自分の意見をハッキリと伝える。
傷の償いはする，だから，この窮地を脱する方法を教えて欲しいと。
その姿は前世と全く変わらない。
あの，憎たらしい姿そのままだった。

「従えるか？」

その一言でAは察する。
彼が何をしようとしているのか。
そしてその言葉が言質になることを。

「君の杖を私に使わせてくれ」

何が起こるか分からない。
契約呪文は知っていたとしても何があるかは分からない。
不安はあるが，きっと彼ならと考えるフィオ。
これだから騙されるのだ。
だが，許可はなされた。
反撃の幕開けだ。