嘘吐きは一途である (ページ5)

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知り合いかとターフェに問いかけるフィオ，その男を鬱陶しそうに見遣るAとターフェ。
知らないと答え，立ち去ろうとする。
態々雑魚で雑草な一人や二人をターフェは覚えていなかった。
それに激昂したのか，男は魔道具であろう拳銃を取り出した。

「無視すんじゃねー！！
其の『変装』解いてやるぜ！」

いち早くそれに気が付いたのはフィオだった。
彼女は声を上げ，ターフェを押しのけ躍り出る。
街の中に響く爆発音，薄らと目を開いたフィオに何一つ怪我はなかった。

『ねぇ，何で飛び出したんだい？』

怒りの含まれたAの声。
そして目に飛び込んだのは，ターフェの黒い髪と夕闇色の瞳であった。
彼は捲し立てるように声を荒げる。

「力もないのに前に飛び出すんじゃない。
アホ馬鹿青茄子！！」

きょとりとするフィオを他所に，Aはターフェに心配の声を上げる。

『ターフェ！髪の色が…！！』
「はぁ？」

本人も確認したのか，道中でやりすぎたかと愚痴を零した。
そんな様子をあの男二人が見逃すわけがなく，指をさした。

「化けの皮がはがれたな！
黒の民のクソガキ！」

どうやら彼は商売道具をターフェに壊されたらしく，金に換えてやると発言している。
取り巻きは，そんな男を上げる様な発言を零した。
そんな面倒なことに巻き込まれたくないのは流石夫婦というべきか，二人とも同じようでAの声掛けを合図に走り出す。
道中，フィオは口を開く。

「た，助けてくれたんだよね。
さっきの…防御魔法だったの？
一瞬過ぎて分からなかった…。」
「余裕がなかったからね…。
…それよりこんなことに巻き込んでしまってすまない」
『謝らなくていいよぉ。
ターフェの魔法はどんな様子でもきれいだからね』

走りながらフィオは考える。
まるで別人の様な捲し立てを見せたターフェの様子を見ての違和感。
そして先程から元からターフェの知り合いかの様に振る舞うAの違和感。
だが，それを長考する暇は残されていなかった。