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五夜 ページ6

キッド視点

東條財閥の末の令嬢が住んでいる別荘へ足を運んだ。

目的は末の令嬢、Aが持っているアレキサンドライト。


理由は単に、アレキサンドライトを見てみたいと思っただけだ。美術館ばかし忍び込んでんのも飽きてきたとこだったし。


予告を出したはずなのにその屋敷は警備のけの字もなく静かだった。
一角のバルコニーに人影がある。あれがきっと持ち主だろう。


金持ちの娘って事でどんな奴だと思っていたが、彼女は俺の想像からは遠く離れた綺麗な奴だった。

だが、ルビーのようなその瞳は憂いを帯びていて何か裏があるとそう感じた。



彼女の目の前に降り立ち、挨拶をする。

手の甲に口付けると頬を染めた姿は見ていて可愛らしかった。


貴女のアレキサンドライトが欲しいとそう伝えると、嫌がったり逃げる素振りも見せず、逆にあっさりと俺に宝石を渡した。


「私は、名ばかりの東條家。その宝石は私の手にあっていいものじゃないわ」


寂しそうにそう呟いた彼女の言葉、東條家のA以外の人の髪色や目の色を思い浮かべ、彼女の立場を察した。


それでも毅然として笑う姿に胸が痛んで、気付けばその小さな身体を抱き締めていた。




宝石を早く返しに来たい気持ちとまだ返したくないという気持ちが入り交じって心が重かった。


宝石を返した後、何を口実にここへ来るかそればかり考えていた。


___________


「終わりにするつもりなんてねぇよ…」



「…じゃあ、何故宝石を、」



「俺の指針に反するんだよ。俺が求めている宝石じゃなかったら持ち主に返す、それが怪盗キッドだからな」


「ごめんなさい…私、貴方に酷いことを沢山言ってしまった」


また、一人に戻るのかしら…
先ずこの人は怪盗だもの、すぐ居なくなってしまっていたかしら。


「お前が謝る事ねぇよ。お前の話すことも一理ある、それだけ俺に来て欲しかったってか?」


悪戯に笑った彼を見て、一気に羞恥心が湧き上がる。


「ま、まぁ!!そんなんじゃないわよっ!」



「はははっ!冗談だっての、」


「…っ、もう…!」

この人が隣にいると調子狂う。
一番聞きたい事があるのに。


「ねぇ、差し支えなければ何だけど…」


「あ?何だ?」


「貴方の名前を教えて欲しいの」


私のその言葉に少し考え込んだ彼だったが、にんまりと笑って


「いいぜ。…俺の名前は、黒羽快斗。お前と同い年だ」


そう言ってシルクハットを取った。

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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます!よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです( ; ; )楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです!これからもがんばってください! (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…!チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました!感謝でいっぱいです! (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年4月15日 7時

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