三十四夜 ページ35
「今日もキッドで現れたわね、快斗」
いつもと同じ様に夜更けに私の元へ現れた快斗。
「貴方はもう私の大事なお客様なんだから、玄関から入って来て貰ってもいいのに…」
「それも嬉しいけどよ、こうしてバルコニーへ来た方が良いだろ？」
からっと笑った彼に少し違和感。
辛そうな笑みね…
「快斗、貴方真逆私がキッドの姿が良いと思ってるの？」
「…そうじゃねぇのか？」
大きな溜め息をついて、頭を抱える。
どうしてこの人はそんな考えに至るのよ…
まあ確かに告白されたのも告白受けたのも彼がキッドの時だったけど…
「違うわよ！」
彼の両頬に手を這わせて、真剣に彼の瞳を見つめる。
「…私は貴方が好きなのよ、快斗」
額をこつん、と合わせる。
「だから今度からは、黒羽快斗で来てちょうだい。ね？」
そう言って笑ってやると、がばりと強く抱きしめられその弾みで帽子が落ちる。
彼のふわふわの黒髪をさらりと撫でる。
「うん、かっこいいわ快斗」
半分冗談で半分本気にそう言うと、今度は屈託のない笑みで彼が笑う。
心無しか彼の目元が潤んでいる気がする。
「…ありがとな、A」
「何もしてないわ、私」
彼の涙を拭ってあげると、擽ったそうに目元を細める彼がとてつもなく愛しい。
あぁ、幸せよ私
貴方が来てくれるだけで、私百人力になるくらいなの。
明日もきっとあるお父様の訪問も、話なんてしないでとっとと追い返しちゃうわ。
本当に貴方のお陰なの。
私が強くなれたのも、誰もいない寂しさを紛らわせる事が出来るようになったのも。
だから、本当にお礼を言うべきなのは私なの。
「…ありがとう、快斗。貴方が居てくれて良かった…」
そのまま彼に身を委ねると、優しく抱きしめてくれた。
「俺も、お前が居てくれて良かったよ」
初めて唇を重ねてから5日、二度目のキスを交わした。
後ろから目線を感じてしまった。
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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます！よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (
レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
絲(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです（ ; ; ）楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです！これからもがんばってください！ (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…！チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました！感謝でいっぱいです！ (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2019年4月15日 7時
