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三十二夜 ページ33

「何故、西園寺からの見合いを断った」


あの日の次の日、お父様が急に家に訪れた。

途端に放ったその言葉に、最悪の事態を予想する。



「…彼の事、好きになれませんし、彼は礼子を打ったんです。それが許せなくて…」


「…そんな事で、西園寺の見合いを断っただと…?お前も今回の事は家に関わる事だと知っていたはずだ」


「はい……財閥の運営も少し楽になると…」


お父様の顔を見れず、俯く。

あぁ、やっぱりそういう事だったのね…


お父様のこういう所にお母様は騙されて…



「全く…私が芝居をうってまで計画した事であったのに、お前や怪盗キッドが台無しにしてくれたな…」



「芝居…やっぱり、そうでしたのね。私に政略結婚をさせるために、思ってもいないことを言ったという事ですのね」


「夏夜と似て、お前も勘が鋭いな。そういう事だ、お前が西園寺に謝罪し求婚すれば許すと言っている。直ぐに謝罪をしに行け」


お父様の冷たい声とその言葉の内容に頭に血が上る。

縫、貴方はそういう人なのね。


「……いい加減にして下さい!大嫌いで邪魔者の私を政略結婚の道具にするのは貴方が考えそうな事ですからまぁ分かります。…でも、充てる相手をお間違いですわお父様」


深呼吸してソファから立ち上がる。

お父様を正面から見つめる。


「大事な政略結婚は、ご自分の大事な娘で行うべきですわ。この見合いが成立しなければ東條家も少しは痛手を食う筈。……この状況を私に打開させるのは無茶ですわ、だって私は東條家の者ではないのでしょ、ね?」


私の言葉にぐっと押黙るお父様。


あぁ、あの言葉信じていたのに。

お父様がこんな事言わなければ泣いて快斗の手を離したのに。

見合い相手が縫じゃない優しい人だったら、想いは伝えなかったのに。


「これを言っても、まだ私を見合い相手に立てるおつもりですか?」


「っ……だがあの子達を手放す訳には…」


ふらっとよろけそうになる。

傍の椅子に手を付いて身体を支える。


「ふ、ふふっ……」


笑みが零れてくる。

私の中で何かが崩れていったみたい。


「…謝ればいいのか、謝ればその話を話さず結婚してくれるのか」


目線だけお父様を見ると、焦った様な顔をしている。


「ならば謝るから、どうか結婚してくれないか!あの子達を出すのは嫌なんだ!お前しかいない!」


無様な姿も、そんな言葉も聞きたくなくて。

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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます!よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです( ; ; )楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです!これからもがんばってください! (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…!チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました!感謝でいっぱいです! (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年4月15日 7時

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