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三十夜 ページ31

「私、あなたの事が__」


そこまで言った所で、ふっと言葉が止まる。

言葉を止めたのは、快斗の手。


「…駄目だぜ、A。 こんな時にそんな雰囲気にすんのは」


快斗の手で塞がれた口で、反論しようとするけど何も喋られない。


「…お前は謝ってくれたし、あの時は俺も言い過ぎた。これでいいじゃねぇか、お前が無理してそんなこと言う必要はねぇんだよ」


快斗は、私が何を言おうとしてるのか分かってるってこと…?


でも、そんな言い方は無いじゃない…


少し緩んだ快斗の手を無理やり剥がすと、やっと話してくれるようになった彼を睨む。


「…私が、貴方と前みたいに話せる様にする為に、こんな事言うと思ってるの」

自分でも驚くくらいの低い声が出る。


「やっぱり、貴方は、私と離れたかっただけなのね…?そんなに嫌なのだったら、言えばよかったのに」


「…っ何でそうなんだよ!」



「そう思うしかないじゃない!…私と、話すのでさえ嫌なのでしょ?だから、当たりを見回して。早く帰りたいんだわ!」


ここまで来たらもう言葉が止まらない。


「私の事、思う存分嫌えばいい…っ、」


伝えたかった気持ちも何も伝えられず、喧嘩で関係が終わるなんて……


知らず涙がこぼれる。

彼の腕から手を離して、出入口の方へ振り返る。


本当の本当に、もうこれで彼と会うことは無い。


「……さようなら、快斗」

ぽつりと最後にそう呟くと、出入口の方へ歩き出した。


_____________


「…A」

どんと背中に小さな衝撃と、暖かい温もり。


どうやら後ろから抱きしめられているようで……


「お前とこんなめんどくさい事してねぇで、ただ一言言えばよかっただけなんだな」


ただ一言って…?


「お前も、俺と同じなんじゃねぇかって…少し浮かれちまってたんだ…悪かったよ」


俺と同じ……?

どういう事……




抱き締められる強さが、一層強くなる。

背中から快斗の鼓動の音が伝わって来る。


「…一回しか、言わねぇから、聞いててくれ」


快斗の声が少し上ずった。


ごくりと生唾を飲み込む。



「……A、好きだ」

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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます!よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです( ; ; )楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです!これからもがんばってください! (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…!チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました!感謝でいっぱいです! (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年4月15日 7時

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