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二十五夜 ページ26

お父様に、二人だけで会いたいと言われ、会いに行った。


二人だけで会いたいだなんてそんな事今まで無かったから、またなにか責められるんじゃないかと思い、溜息をつきながら本家へ着いた。


お父様の部屋の前で立ち止まり、ノックをする。


「お父様、Aです。只今参りました」


「入れ、」

ガチャりと重いドアを押し開けて中に入る。


「そこに掛けなさい」

促されるままお父様の向かい側へ腰を下ろした。


「お父様、お話とは…?」


「……あぁ、」

するとお父様は徐に立ち上がり、私を抱き締めた。


突然の出来事に目を丸くする。


どうして、お父様が私を…?

嫌っているのではないの?どうして、


「一昨日の夜に、ある怪盗が私の元へやって来た」


ある怪盗……?

まさかキッド?


「その怪盗が、私にうながしたのだよ」


「…促した…?」





「……愛しているよ、お前も夏夜も」


私と、お母様を…?

お父様は、お母様を愛していたのね……


「…お父様……」


「今まで辛く当たってすまなかった…正妻の事もあり、お前を見ていると、夏夜に責められているようだったのだ…」


お母様の全てを受け継いだ私が嫌いだった訳ではなかったのね…



一度、アレキサンドライトの宝石の意味を調べた事があった。

意味は、“秘めた思い”



初めは、愛していないとかそういうふうに受け取っていたけど、違ったのね…


「お父様…!」

私はお父様に抱き着いて、声を上げて泣いた。


お父様はそんな私の頭をずっと撫でて、宥めてくれた……


__________


お茶を飲んで落ち着いた私は、少し疑問に思ったことを聞く。


「…さっきの怪盗は、お父様に何か言ってすぐ帰ったの?」


「…あぁ、怪盗らしくない怪盗だった」


「本当ね…」


「A、もう一つ話さなければいけないことがある」


お父様が改まって、私に向き直る。


「は、はい…」


生唾を飲み込んで、次の言葉を待つ。

こういう時は大体どうでもいい話だったりするものだけど……








「見合いを、してみないか」


最高に碌でもない話だった。

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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます!よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです( ; ; )楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです!これからもがんばってください! (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…!チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました!感謝でいっぱいです! (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年4月15日 7時

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