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二夜 ページ3

「貴女は、何て事を…」


心地よく感じる彼の体温と力強さ。

抱き締められるって、こんな感じなんだ。


「…あったかい…」


そう感じると、不意に涙がぼろぼろと溢れてくる。

寂しくても、こんなに涙は出なかった。
義母や義兄達から嫌がらせを受けた時もこんな涙は出なかった。


「…っ、う…」


少し大きい彼の背中に腕を回して泣きじゃくった。


すると


「…っ!う、ぇ?どうして泣くんだよ…俺、何かした…?」


体を離して、慌てふためく怪盗を見て笑いが込み上げた。

そして、ちらりと見えた彼の怪盗じゃない所。



________


「落ち着きましたか…?」


ハンカチで私の涙を拭いていてくれた優しい怪盗は、ふと手を開きぱちんと指を鳴らす。


その手の中には一輪の白い薔薇。

それを私の髪に挿してくれた。


「…!まあ……!」


「…そろそろお暇します」


えぇ……もう…?


せめて、お名前だけでも聞けないかしら


「あの…貴方の名前は…?」


バルコニーの手摺に足を掛けた彼に声を掛ける。


彼はまた艶やかな笑みを向けて


「私は怪盗キッド。また、月の出た日に。A嬢」


私の頬へ手を伸ばして、そのまま額に口付ける。


「…ハンカチ。洗って返すわ、だからきっと取りに来て。キッド」


「えぇ、必ず」


また会う約束を取りつけて、彼は飛んで行ってしまった。


私は真っ白な薔薇とハンカチを見つめて、そのままずっと立っていた。



_____________

その後、お父様から電話があった。


宝石は守り抜いたんだろうな


という内容で、上げたと言ったら案の定怒られた。



嫌いだったあの宝石が、あの人との関係を結んでくれた。

と、そう思ったらとても嬉しくて






ハンカチを返した後の彼と会う口実を、お父様の声を後ろにずっと考えていた。

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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます!よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです( ; ; )楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです!これからもがんばってください! (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…!チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました!感謝でいっぱいです! (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年4月15日 7時

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