十夜 ページ11
数日後にはもう体調も良くなって、ベッドから出られるようになった。
あの後本家からのその事についての連絡は無かったが、別の要件で連絡があった。
「鈴木財閥と船で夜会だ、お前も来い。期日は四日後だ」
「分かりました、態々の御足労痛み入ります」
「…あぁ。この前の夕食の事だが__」
「構いませんわ、大事には至っておりませんし。それにお父様が仕組んだとは思っておりません」
義母や義兄の仕業と考えるのが妥当。
お父様がリスクを負って私に毒を盛る動機なんてないもの。
「…そうか」
お父様はそのまま数秒私を見つめて、踵を返した。
「…お父様、友人を誘っても宜しいですか」
それに足を止め、驚いた様に振り返るお父様。
「あぁ、構わん。好きにしなさい」
「ありがとう御座います。車までお送りしますわ」
お父様の前に出て、玄関まで案内する。
重い扉を開けて、お父様を通す。
「お気をつけて、おかえり下さいませお父様」
「あぁ」
車に乗ろうと身を屈めたが、何かあったのかまた私の方を振り向いて
「A……いや。今月の生活費は召使いに渡してある。何か入り用があったら彼女に言うといい」
「は、はい…」
今日のお父様…どうしたのかしら…
あの怖いお父様は何処へ…
目の前で車が走り去っていく。
何だか寂しいような気がしたけど、きっと気の所為よ。。
___________
「よお、A。お前のブレスレット返すの忘れてた」
またまたこの怪盗は、バルコニーからやって来て私の心を掻き乱して帰っていくのだ。
今日は何が起こるかしらね
「ふふ、それで態々?」
「おう。お手をどうぞ?A嬢」
久し振りの艶やかな笑みに、心がぎゅっと締め付けられた。
い、痛い……
素直に手を出すと、するりとブレスレットが通されそのまま手の甲にキスを落とすキッド。
「…!もう…本当にキザなんだから…」
私が顔を染め、ため息をつくと悪戯に笑う彼。
この笑みが、好きなのよね…
…いや、好きって、違うわよ。馬鹿ね
「そうだわ、四日後に船で夜会をするんだけど快斗も来ない?友人を連れて来てもいいから」
「夜会?んなもん__」
ふいに言葉を止め、何やら考え込んで
「行く、」
「あぁ、そう…」
何かしら、
「それじゃ、ちゃんとした恰好して来るのよ?詳しい事は後で連絡するわ」
「おう、」
楽しみなんだけど、何か引っかかるわね…
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蘇澳(プロフ) - 絲さん» 飛んできてくださってありがとうございます!よろしければまた読んでやってくださいませ〜 (4月25日 23時) (レス) id: 92b4cb2eaf (このIDを非表示/違反報告)
絲(プロフ) - 更新通知を受け、すっ飛んできました…本当に大好きな作品なので、続編とっても嬉しいです( ; ; )楽しみにしてます♪ (4月25日 0時) (レス) @page43 id: 86d7744b06 (このIDを非表示/違反報告)
シアん。 - 軽く23回咳き込んだに見えてしまった (8月19日 8時) (レス) @page8 id: 2170ff9ae1 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - この小説私得だ…めっちゃ好きー。言葉に表せないくらい好きです!これからもがんばってください! (2019年11月3日 22時) (レス) id: 1eb05cfcac (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - チイナさん» 私の拙い文章にそこまで言ってくださって本当にありがとうございます…!チイナさんのお言葉に感動して涙が出ました…そこまで私の作品を楽しんで下さりありがとうございました!感謝でいっぱいです! (2019年7月24日 19時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年4月15日 7時