検索窓
今日:6 hit、昨日:0 hit、合計:19,320 hit

新しい生活 ページ8

「駄目よ、駄目なの。私が貴方の傍に居ることは許されないのよ…」


「俺を殺しかけたからか。だがそれは違うぞ、俺がお前を悲しませて暴走を誘った。俺の自業自得だ」

そうじゃないの、

それもあるけれど、そうでは無いの。


貴方はあの時のこと覚えていないかもしれないけれど、私は鮮明に覚えてるわ…


あの人の恐ろしい笑と恐ろしい命令を。


貴方と一緒に居たら、この想いがもっと積もってしまう。
あの出来事を忘れてしまう。


離れたくない。離れたい。


晴齋……私、どうしたら。


ちりん、風鈴の音が耳に入る。

顔を上げるのが怖い、彼女の言葉を聞くのが……

思い切って顔を上げる。


『A、貴女は此処に居て』


「へ……?」

唖然とする私をお構い無しにさらさらと文字が書かれていく。


『雪女の力なんて貴女の気の持ち用で変化する。自分の力を恐れなければ人を殺すような事は無くなるわ』


「気の、持ち用……恐れなければ…」

そうかもしれない。
もう二人も殺めてしまったから自分の力が怖くなってしまったのかも。


『それにね、貴女が居なくなると……当分イツキは使い物にならなくなるから』

ん…?どういう事かしら。私が居なくなったら……寂しいってこと?


「物怪庵!余計な事を言うな!」

頬を僅かに染めた晴齋が声を張り上げる。
なんだか微笑ましくて、声を上げて笑った。


「っ……お前も笑うな!」


「ふふっ……可笑しくて…」


「……A。物怪庵の奉公人になれ、お前が欲しい」


「っ!……」


如何してそういう事、さらっと言うのよ…
晴齋の馬鹿……


「…えぇ、私を此処に置いてくださいまし。主」


座り直し、深深と頭を下げた。


「そう言えば、お前依頼料は?」



「あ、えぇと……」


そうだった…どっちにしろ金子を持ってないわ。


「芦屋と同じくお前もタダ働きだな」


「分かってるわよ…」


こうして新しい生活が始まった。

久々の隠世→←悲



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (27 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
85人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

EMIKO(プロフ) - はい!!大丈夫です!! (2019年4月1日 19時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - EMIKOさん» 本当にありがとうございました!イラスト載せさせて頂いてもいいですか? (2019年4月1日 18時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - いえいえ!!こちらこそ描かせて頂きありがとうございました!!これからも応援します!! (2019年4月1日 18時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - EMIKOさん» いえいえ!ありがとうございます!とても嬉しいです! (2019年4月1日 17時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - 描けました!!想像と違ったらすいません、、、 (2019年4月1日 17時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年1月28日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。