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二度目の足抜け ページ17

人々の視線の先は上。

それに倣うように見上げると、見世の二階から女が顔を出している。


美しい銀の髪、憂いに満ちた瞳、華奢な身体。


「A…!」


_________________

「A…!」


私の名を呼ぶ声…

少し身を乗り出して下を覗き込んでみると……


見慣れた金の髪、


「っ……!そんな、晴齋……!」


視線が絡まる。


「A!逃げるぞ!」


「……っ、晴齋!」


あぁ、夢みたい……


晴齋が助けに来てくれた……


「淡藤?何かあったのかい、騒がしいけど」


女将……!?


同仕様、このままじゃ足抜けしようとしているのがバレてしまう。



すると、晴齋はこちらに向けて両手を広げた。


「A、来い!」


飛べと言うの!?

唯でさえ、着物が重いのに、


「ごめんなさい、女将さん」


淡藤色の打掛けを脱ぎ捨てる。

帯は少し重いけど、こんな所で解く訳には行かない…


柵を乗り越え、屋根へ足を付ける。


「何してんだい!淡藤!」


「……黙って見逃して下さい、ごめんなさい……」


「A、飛べ!」


私は女将さんに踵を返すと、晴齋目掛けて飛び降りた。




周りから悲鳴が上がる。


「淡藤!」


私は綺麗に晴齋の腕の中に収まっていて、一層強く抱き締められる。


「淡藤!……忘れ物だよ、」


「へ、?」

上を見上げると風呂敷が飛んで来た。


「……女将さん…!ありがとう、ござんした…!」

地面に下ろされ、深深と頭を下げる。

「行くぞ、A!」


そのまま手を引かれ道を走り抜ける。


「……晴齋、」


「話は後だ、今はここを抜けるぞ!」


「花繪は…」



「隠世の出口で待たせてる……ちっ!追ってくるか、」


振り向くと、刀を持った妖達が追いかけて来る。


「A、捕まれ」


「え、?」

その瞬間体が浮いて、横抱きにされる。


「物怪庵、来い!」

近くにあった戸を開けて中に入ると、当たり前だけどもう追ってくる音は聞こえなくなった。


「ちょっと、安倍さん!俺置いてかないでくださいよ!」


「悪い、忘れてたわ」

久しぶりに見た、二人の絡み。

不意に涙が流れてくる。


「……ごめんなさい、二人とも…」


「Aさんが無事で良かったです、」


「花繪……」


「遅いからお前は帰れ、芦屋」


その後私に向けた表情は、とても恐ろしいものだった。

その後→←思わぬ救い



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EMIKO(プロフ) - はい!!大丈夫です!! (2019年4月1日 19時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - EMIKOさん» 本当にありがとうございました!イラスト載せさせて頂いてもいいですか? (2019年4月1日 18時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - いえいえ!!こちらこそ描かせて頂きありがとうございました!!これからも応援します!! (2019年4月1日 18時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - EMIKOさん» いえいえ!ありがとうございます!とても嬉しいです! (2019年4月1日 17時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
EMIKO(プロフ) - 描けました!!想像と違ったらすいません、、、 (2019年4月1日 17時) (レス) id: 04697b5525 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年1月28日 8時

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