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『ふふっ、もう、皆さんたら！』
「そう言いつつ有馬ちゃんも嬉しそうだね」
なんて私のデスク周りの三人(村田さん、佐藤さん、高橋さん)と和気藹々としていると、そこへ近付くひとつの影。
それにいち早く気付いた村田さんが、頭を下げた。
「すみません、仕事をすべきオフィスで取るべき行動ではありませんでした」
それに続いて私含め三人も頭を下げる。すれば
「分かっているならいい。有馬、お前も言動には少し気を遣え」
……急になんですか。
『はい、気を付けます』
目線は合わせずに頭を下げたまま返す。すると、そのまま帰ると思われた零さんは、私の机の上へ手を伸ばし私が押し付けられた書類をかっ攫う。
『…何なさってるんですか』
「…俺が押付けたも同然だ。俺が片付けるのは当たり前のことだろう」
…ふ、本人が居なくなってからそういう事するの。申し訳ないとは思ってたのね。
まぁ、あの人が居た時にこの行動とったら面倒になるのは分かるけれど。けど、なんだか、心がもやっとする。嫌。
『やめて下さい、それは私の仕事です。こんな事されても私の為にも降谷さんの為にもなりませんから。…仕事終えられたのでしたら早くお帰りください』
抱えていた書類の束をその手から奪う。
彼と一線引くように、丁寧にお辞儀し椅子を引いてパソコンと向かい合った。
気にしないで。他人に戻るための一歩を踏み出しただけ。
それに、私のことを何とも思っていないのだから、零さんもどうでもいいでしょ？
_______
実家へ戻るのに、あれこれと忙しい年末。
その引越しの荷物纏めを、まさか、こいつとやっているとは。
「本当に狭いな、こんなとこでよく暮らしていたものだ」
『五月蝿いわね、これでも結構いい物件なのよ。あなたには分からないでしょうけど。一輝兄さん』
「はは、分からんな」
荷物運びで人手が欲しいと奴に進言したら、まさか奴本人が来るとは。外には使用人が待機している。
「後は運ぶだけでいいのか」
『えぇ。昨日徹夜で荷物を纏めていたから』
ふー、なんて溜息をつきそれじゃ運ぶかなんて自身を鼓舞した時。
ぐ、と腕を引かれ、幾分も背の高い奴の腕の中に収まる。
「分かっていた、お前がこちらを選ぶことは。皆心からお前を待っていたぞ」
恐らく笑みを浮かべているだろう。
優しく私の髪を撫でるその手を、私は突き放せなかった。
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ウミ(プロフ) - やばい。感情移入しすぎて泣いてしもた。 (2021年7月18日 8時) (
レス) id: a500a044fa (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - !!!( ﾟдﾟ)ﾊｯ!!!!続きが気になります……！！ (2020年12月22日 13時) (レス) id: b4debc2124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2020年10月29日 23時
