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『走って!』
私がそう言うと、ばっと走り出す二人。よし転びはしなかった。
私は二人に照準を合わせようとする一人の拳銃を蹴り落とし、床に押し付けた。瞬間、
ちゃき、頭に冷たい感触がしてぐっと動きを止める。冷や汗が流れる。
「動くな、手を離せ」
低く冷たい声。こいつはやばい、本当に人を殺しそう。
私はぱっともう一人から手を離すとそのまま両手を上げた。
次いで顔を殴られる。やめて、心配する人がいるんだから。
______
私本当に死ぬかも。
体とか殴られすぎて、マジで痛い。痣残るかな。
私死ぬのかな…でも、あの家に戻らなくて済むのは良いかも。それに役にも立てた。他の仲間がここを見つけるのも時間の問題だろう。
何なら生きてた方が人質として仲間の足を引っ張るから、死んでいた方がいいかもしれない。
__なんて。
『…っ、』
目頭がぐっと熱くなる。この感じいつぶりだろう。
止める術を知らなくて、とうとう両目から涙が溢れた。
__死にたくない、死にたくないに決まってる。
私の人生はこれからなのに。零さんを口説き落として、新しい第二の人生送ってやるつもりなのに。
「ふ、お仲間も助けに来ないみたいだな?このまま死ぬか?」
『…来るわよ、絶対。任務内容は全員制圧、だもの』
留守番をしていた私だからわかる。
あの人は、零さんは任務は絶対遂行する。何があってもぜったい。来る。来ないわけない。
だから。
『…助けて、零さん』
__
「よく言った、すぐに行く」
インカムから耳をくすぐる馴染み深い声がする。
すれば私が囚われていた一室のドアが蹴破られて、零さんと赤井さんの姿が現れた。
「な、なんだおま__」
私に集中していた二人はとっさのことに対応できず、あっという間に零さんと赤井さんにいなされていた。
「A、体を起こすぞ」
そして私は赤井さんに抱き起こされていた。
また何故か零さんは後ろを向いてすぐ様立ち退こうとしている。…嫌、
『ま、…って、れ、さん』
掠れる声を振り絞って、砂埃で薄汚れたその背中を呼び止める。待って、零さん。行かないで、
赤井さんの手から逃れ、立ち上がろうとするも体が痛くて倒れ掛ける。それを、
「…無理をするな!こんな怪我をして歩こうとする馬鹿がいるか!」
私の背には欲しい人の腕が回っていて。
『れ、さん…っ、』
私は堪らず、零さんの首に腕を回して抱き着いた。
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ウミ(プロフ) - やばい。感情移入しすぎて泣いてしもた。 (2021年7月18日 8時) (レス) id: a500a044fa (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - !!!( ゚д゚)ハッ!!!!続きが気になります……!! (2020年12月22日 13時) (レス) id: b4debc2124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2020年10月29日 23時