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「そう言えばA」
おっと!初っ端呼び捨てですか!
日本人だけど、外国の方っぽい!
『はい、どうかしました?』
「これを渡そうと君を探していたんだ」
黒のジャケットから私の白い携帯が出てくる。
あ、持ってたの赤井さんだった。
『ありがとうございます、取りづらくて困ってたんです、ふふ』
「悪かったな、怖がらせて」
『それはどちらに対してです?現れた時?それとも降谷さんとの会話?』
そんな私の揶揄にも気分を悪くする訳でもなく、からりと笑って
「どちらに対してでもだな」
なんて大人な対応をする赤井さん。
私にも普通の心があったら、こういう人のことを好きになっていたんだろうか。いや、まず好きって何。……やめよう。
『やっぱり合同任務になるんですか?』
「あぁ。あの組織はこちらでも追っていてな、アメリカでも多数被害を出した組織でもある」
『では一緒ですね。私は一構成員ですが、よろしくお願いします』
「こちらこそ頼む。日本警察は優秀だからこちらも助かる」
『FBIにそう言って頂けると誇らしいですね』
なんて、ふわふわとした会話を楽しんでいると。
男性二人の話し声が近付いてくる。
誰だろうと赤井さんと二人して目で追うと、それは。
「こんな所で何をしてる、A」
『ふ、降谷さん…』
嘘じゃんー、さっき風見さんに言われたばっかじゃん!ちょ、こんなとこで急に喧嘩とか始めないよね??
「すまない、Aに携帯を返していただけだ」
「A、だと?」
れ、零さんそういや名前呼びになってます…!
あ、まぁ隣に居るの風見さんだけだし、風見さん私と零さんの関係知ってるしいいか…
『す、すみません。休憩長すぎました。仕事に戻ります!』
ばっと立ち上がると、ぺこりと赤井さんに頭を下げる。
『では赤井さん、合同任務よろしくお願いします。ではまた』
「あぁ、こちらこそよろしく頼む」
去り際に赤井さんが手元を指さすジェスチャーをした。
私の手の中には携帯。……あぁ、そういう事か。
案の定、電話帳を見てみれば一番最初のあのページに赤井秀一と入っていた。
二人だけの秘密のようで、大人に隠れて悪いことをしている子供のような気持ちになって、また赤井さんを見やる。
すると、赤井さんもおちゃめな笑みを浮かべて私を見た。
“またあとで”
赤井さんの口パクはセクシーだった。
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ウミ(プロフ) - やばい。感情移入しすぎて泣いてしもた。 (2021年7月18日 8時) (レス) id: a500a044fa (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - !!!( ゚д゚)ハッ!!!!続きが気になります……!! (2020年12月22日 13時) (レス) id: b4debc2124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2020年10月29日 23時