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おや、最近零さんに愛の告白をしていないぞ。
これはいけない、私が結婚を諦めたと思われてしまう。
けれど、なかなか休みも合わないし、オフィス内で二人きりになると言うこともないし……
まさか、これが零さんの思惑だなんてことは__
流石にない、いやでもあの人ならやりかねない、
やっぱり、出待ちしよう。
_______
ああ夏だな、蒸し蒸しする。
いつの間にこんな季節が巡っていたなんて。
考えれば、私が零さんと結婚できなかったらもう零さんとも会えないんだな。
会えないだけじゃなくて、外にも出られないな。
はあ、そんなの嫌だな。
ぼうっとそんなことを考えていると、ききっと音を立てて私のすぐ側に車が停る。
なんだなんだ?
視線だけ上げてみると、目の前には赤いマスタングが停まっている。
『…あら趣味が宜しいようで』
中々お目にかかれない車、なんて見ていると、左側のドアが開き長身の男が姿を現した。
こんなに大きな人を見た事が無くて、驚きで思わず立ち上がる。かたんと携帯が落ちる。…割れてませんように。
「驚かせて済まない、ここに用があるものだから。君は関係者か?」
ふーと小さく深呼吸すると、零さんによく言われるポーカーフェイスを作る。
『どんな御用かお聞きしてよろしいでしょうか』
すると長身の男は、あぁと小さく声を漏らして何やら胸元のポケットを探る。出てきたのは
『…FBI、日本人』
「驚くところはそこか。面白いな君」
『…申し遅れました、警視庁公安部の有馬と申します。入署したばかりで無知で申し訳ございません』
警戒の念は解かずに、柔らかい笑みと声を努めて挨拶する。すると
「ファーストネームを教えてはくれないか?」
と、何故かそんな事を言うものだから、首を傾げながらもはいと返事をして口を開いた時だった。
「僕の日本に何の用だ、FBI」
この前と同じように右手首を捕まれ、ぐっと引かれる。気付けば私は、いつの間にか現れた零さんの広くも華奢な背中に隠されていた。
『れ、…降谷さん、』
「また、僕の優秀な部下に手を出すな」
これはこれは嬉しいことを……
でも零さん、この人悪い人に見えないよ?名前日本人だし…なんでそんなに敵対心剥き出しなの?
「おっと、怖いな。ただ名前を聞いただけなんだが」
「お前と無駄話をするつもりは無い赤井秀一。用件を言え」
主に零さんの目から火花が散っていた。
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ウミ(プロフ) - やばい。感情移入しすぎて泣いてしもた。 (2021年7月18日 8時) (レス) id: a500a044fa (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - !!!( ゚д゚)ハッ!!!!続きが気になります……!! (2020年12月22日 13時) (レス) id: b4debc2124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2020年10月29日 23時