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「悪かったな、どうしても皆がお前の実力を疑うから、こうしてテストさせてもらった」
えぇ……そんなことある…?
あぁ、疑うということはやっぱり女だからか。
私が零さんをたぶらかして不正に入ったとか思われてたってこと?そんなことするような人じゃないって自分達がよくわかってるでしょ。
『…それで、私は合格したということですか…?』
「ああ、揶揄う様な真似をして悪かったな。安心しろ、その資料は偽物。またお前の言う通り複数人の目を通している」
『そ、それなら…良かったです』
「今度からも何も遠慮せずに何でも言ってくれ。逆にお前しか気付かないこともあるかもしれん。頼んだ有馬」
『…はい!』
これで私に対する偏見は取り除けたと、思っていたのに。
_______
『ふぅ…少し休憩でもしようか』
ぐーっと手を上に挙げて伸びをすると、周りにいた仲間たちが一斉にこちらを向く。
『しっ、失礼しました!……皆さんよろしければ何か飲みたいものとか食べたいものありませんか?近くのコンビニから買ってきます』
最近このオフィス内の仲間たちとは凄く打ち解けていて、今では助けたり助けられたりする仲だ。
すれば、ありがとうなんて声が聞こえ始め、俺はあれーなんて声までも聞こえ始める。
『はいはい、皆さんの分ちゃんと買ってきますから1人ずつ言って下さいね、ふふ』
「気が利くね、有馬さん。今までこの職場に女性入ったこと無かったからさ、最近すごく助かってるんだ」
私の隣の席の鈴木さんという方がそう言ってくれる。
『それは嬉しいです、前の職場ではそうやって言葉にしてくださる方居なかったので』
じゃあいってきまーすなんて言ってオフィスを出る。
そして休憩所の前をふと通り過ぎた時。
「あそこの、彼奴の噂聞いたか?」
「…ん?彼奴って?」
「ほら、降谷のとこの」
「あー、何つったっけ、有馬?」
どきりと心臓が音を立てる。なぜに私の名前が?噂になるような事、何かしたっけ…
私は足を止め、壁に身を隠して続きに耳をそばだてる。
「彼奴さ、警察学校特別編入学したらしいぞ。しかも半年かかる研修期間が三ヶ月で終わったらしい」
「は、マジ?それ誰か一枚噛んでるんじゃないか?」
「ははっ、そりゃ降谷だろ」
名前も知らない二人の下卑た笑いに腹が立ってくる。
恩人を馬鹿にされても何も言えない自分にはもっと。
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ウミ(プロフ) - やばい。感情移入しすぎて泣いてしもた。 (2021年7月18日 8時) (レス) id: a500a044fa (このIDを非表示/違反報告)
まな(プロフ) - !!!( ゚д゚)ハッ!!!!続きが気になります……!! (2020年12月22日 13時) (レス) id: b4debc2124 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2020年10月29日 23時