叶わない53 ページ19
ギシ、と二人分の体重が掛かったベッドが音を立てる。
その音がまた私の鼓動を早くさせて、目の前の想い人から目を離せなくなる。
両手をベッドに縫い付けられて、身動きひとつ取れない。
そんな急展開に、私の頭は追いついていない。
『…っ、キヨにぃ…？』
さっきまでふわふわとしていた頭の中はもうクリアになって、大量の情報を処理している。
でも、さっきのキヨ兄の言葉、どういうこと？
“彼氏いるくせに”？え？誰に？
『…誰に、彼氏が、いるの？』
互いに視線を離さないまま、少し上目遣い気味にキヨ兄を見ると、キヨ兄はまだ怖い顔のまま言った。
キヨ 「…お前にだよ。…この前店に、居ただろ二人で」
……ん？何か勘違いしてる？この人。
『…あの。…彼氏なんていません。私』
キヨ 「…は？」
『…てか、あの時の人は私を殴った人です』
キヨ 「…え？」
『…だから、彼氏なんて居ないよ』
そう言うと、キヨ兄は大きくため息をついて、私から体を離した。
キヨ 「…そおか、ごめんな乱暴して」
わしゃわしゃと私の頭を撫でると、そのままベッドを立って部屋を出て行こうとするキヨ兄。
その背中は何だか安堵しているようにも見えて、私も立って今度は腕を掴んで引き留める。
キヨ 「…ん、どした、」
二人きりのこのタイミングで、キヨ兄の彼女はどういう人か聞いてみようとしたのだ。
『…あの、さ……じゃあ、キヨ兄の彼女さんは、どんな人なの、？』
俯いて、それだけ聞いた。
キヨ兄がどんな顔で女の人の話をするんだろうと、気になりながら次の言葉を待っていたんだけど。
キヨ 「……お前、何言ってんの？…誰に？」
さっきの私と同じような反応を見せたのだ。
『…は？…居ないの…？』
キヨ 「居るわけねぇだろ。つか、誰情報それ」
『…はぁあぁああ！？何その話！！』
気付けば大音量で叫んでいた。
キヨ兄は耳を塞いで、怪訝そうな表情を浮かべている。
『キヨ兄に彼女いるからって、だから、私、キヨ兄の家出たのに……』
そんな……と、その場に座り込む。
キヨ兄は私のその言葉に驚いたのか、私と目線を合わせるように屈んだ。
キヨ 「…んな理由だったのか」
『…そうだよ、私なりにすごい考えてたんだから…』
すればキヨ兄はからっと笑って、私の頭を撫でて
キヨ 「んじゃ、またうちに来るか？」
なんて、悪魔の言葉を囁いたのだった。
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蘇澳(プロフ) - りぃ@l」ω=さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけてとても励みになりました^^*更新頑張りますのでこれからも末永くよろしくお願いします！ (2020年3月2日 21時) (
レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ@l」ω=(プロフ) - 一気に読ませていただきました！すっごく面白いですー！キヨさんのこと、もっと好きになっちゃった…笑これからも投稿楽しみにしてますね！早く続き読みたいー (2020年3月2日 21時) (レス) id: b3c6beb7e3 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - しまちゃんさん» コメントありがとうございます！いつも皆さんに楽しんでもらえているか心配だったので良かったです！更新は変わらず遅いかと思いますが定期的に行うようにしますので、これからもよろしくお願いします！いつも読んでいただいてありがとうございます！ (2020年2月29日 22時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
しまちゃん(プロフ) - 初めて感想失礼します！楽しく読ませて頂いてます！次どんな展開になるのか楽しみで毎度読むのにワクワクしてます！待ち遠しくて最初から何回か読み返したりしました、、！ご無理のないよう、素敵な小説更新するの楽しみにしてます！ (2020年2月29日 20時) (レス) id: d2a5bc168d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蘇澳 | 作成日時：2020年2月13日 20時
