叶わない47 ページ12
そろそろ返事聞かせてくれない?なんて、そんな事を大学で言われて、午後の授業後に隣町に行った。
こういう時でも出掛けたいのかと思いながら、嫌々笑顔を作って、話していた。
そう言えば、キヨ兄の家から少し近いなぁなんても思いながら。
翼 「Aちゃん、飲み物なんかいる?」
何故かご機嫌に彼は自販機の前でそう言った。人気が無く、いつの間にか夜になっているのに今更気付く。
そしてあの時倫音に言われた“気を付けろ”の言葉が思い浮かぶ。
『…い、要らない』
翼 「そっか。じゃそろそろ、返事聞こうかな」
にこにこと恐ろしくも見える笑顔がこちらへ向けられる。
少し冷や汗をかきながら、俯いてごめんと言う。
『…ごめんなさい、私、翼くんは友達としか見れないの』
相手を一番反応させない言葉を選んで、申し訳なさそうに言う。ありがとうねという言葉も忘れずに。
このまま何も無く終えられると思ってた。
じゃあね、なんて言ってあとは関わらずに過ごせると思ってた。
しかしそんな私の心持ちとは裏腹に、彼がとった行動は。
翼 「…俺言ったよね、脈アリだと思った子にしか告白しないって。Aちゃんは、俺のこと好きなんじゃないの?だから思わせぶりな行動取るんでしょ?」
目を見開いて、信じられないとでも言わんばかりに私を見つめる。そして、ぐっと腕を掴まれて、どんと自販機に押し付けられる。
恐怖で言葉と息を忘れる。
翼 「俺で遊んでたってこと?俺のこと振って、学校でそれを触れ回るつもりなの?」
怒りに満ちた彼の顔が近付いて、私の身体はもうがたがたと震えている。
キヨ兄の時の方がまだマシだった。
……キヨ兄…そ、そうだ、ここキヨ兄の家から少し近い…!
『…っ、離して。そんな事、思ってない……兎に角、もうあなたには関わらないから…』
翼 「そんな事を言って欲しいんじゃないよ!分かるだろ、俺が言って欲しいこと!」
……もう、この人見てるといらいらが止まらない。
『…言いなりにさせて言わせた言葉を貰って、あなたは嬉しいの?私は絶対に嫌!』
声を張り上げてそう言うと、激昂して顔が赤くなった彼の手が飛んでくる。ぎゅっと目を瞑れば左頬に痛みが走って、視界が涙で滲む。
『…っ、最低…大嫌い!』
男をどんと押して、走り出す。
走っていく度に涙が溢れた。
…キヨ兄に会いたい、何言われたっていいから。
この震えを止めて欲しい。
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蘇澳(プロフ) - りぃ@l」ω=さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても励みになりました^^*更新頑張りますのでこれからも末永くよろしくお願いします! (2020年3月2日 21時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
りぃ@l」ω=(プロフ) - 一気に読ませていただきました!すっごく面白いですー!キヨさんのこと、もっと好きになっちゃった…笑これからも投稿楽しみにしてますね!早く続き読みたいー (2020年3月2日 21時) (レス) id: b3c6beb7e3 (このIDを非表示/違反報告)
蘇澳(プロフ) - しまちゃんさん» コメントありがとうございます!いつも皆さんに楽しんでもらえているか心配だったので良かったです!更新は変わらず遅いかと思いますが定期的に行うようにしますので、これからもよろしくお願いします!いつも読んでいただいてありがとうございます! (2020年2月29日 22時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
しまちゃん(プロフ) - 初めて感想失礼します!楽しく読ませて頂いてます!次どんな展開になるのか楽しみで毎度読むのにワクワクしてます!待ち遠しくて最初から何回か読み返したりしました、、!ご無理のないよう、素敵な小説更新するの楽しみにしてます! (2020年2月29日 20時) (レス) id: d2a5bc168d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2020年2月13日 20時