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叶わない34 ページ43

その後、弱ったキヨ兄をそのまま置き去りにするのはどうも気が引けたので、良くなるまで看ることにした。


久しぶりに胃にものを入れる事になるから、びっくりして吐かないようにと、水分も多いお粥を作ることにした。
キヨ兄はまだ寝てる。


『……でもやっぱり、料理した形跡がない…』


彼女なら、彼氏に料理を振る舞うものだし。

彼女さんなら、キヨ兄のこの部屋に好きな時間に好きなだけ居られるんだから、キヨ兄の体調を知らないわけない。ご飯作ったりするはず。


それでも形跡がないってことは、

…料理を、しない人なんだろうか。


胸を撫で下ろす。



『……っ!』


い、今自分……ほっとした……!?

彼女さんが、このキッチンに入って、料理をしていないことに…?料理をしない人だということに…?


『…な、なんてこと…っ』

キヨ兄が選んだ人だもの、いい人に決まってるのに……!

あぁやめようやめよう、と頭を振って、お粥を煮ている間にキヨ兄の様子を見に行った。


____


キヨ 「…っ、は」


『…ね、熱…』


布団に横たわっていたのは、顔を真っ赤にして荒い息を立てるキヨ兄の姿。


急いで駆け寄り、額、首の順に触れていく。


『熱い……わ、この家体温計あるのかな…ま、まず冷えピタ…あ、無い……』


どうしよう。

こんな苦しそうなキヨ兄置いて薬局に走るのも気が引ける。

でも、このままキヨ兄を見ていても、何も起こらない。


私は頬を思い切り叩いて自分を奮い立たせ、風呂場から洗面器とタオルを持ち出し、氷と水を入れて持っていく。


『…っ、つめたっ!』

その水の中にタオルを入れ、絞ってキヨ兄の額の上に乗せる。次いでに汗も拭ってあげる。


『ごめんねキヨ兄。少しだけ待ってて、すぐ帰るから』


煮えていたお粥を火からおろしてから、財布と鍵を持って部屋を飛び出した。


あぁ早く、早く、元気なキヨ兄にあいたい。

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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます!とても励みになりました!お目に入れて頂き光栄です!これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして!毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています! (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年8月12日 23時

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