親戚の子

叶わない23 ページ29

パソコンの通知を知らせる音が鳴る。

見てみるとそれは大手動画アップロード会社からで、登録者が増えた事を知らせる通知だった。


『わ、ありがとうございます』

届くはずも無いのにぽつりとそんな言葉が出てしまって、自分で苦笑いする。

『ふふ、60万か…嬉しい、』

こんなに多くの人が、私の歌を好きだと言ってくれるのか。

と、まあ感慨に耽っていると、今度はSNSが音を立てた。


『ん、ダイレクトメール？……何だろう、』


開いて見ると、それはもう一つの動画のアップロード会社からで、内容は

“イベントに参加してみませんか”


というものだった。

しかもそのイベントというのは、Ｎ社が定期的に行っている大規模なものだったものだから驚いた。


『えっ！私が…？』


詳細を見てみると、新人の歌い手さんとベテランさんから六人集めるとの事で、新人枠に私が選ばれたのだとか。


『な、なんて畏れ多い……』

でもそんな感情とは裏腹に私の指は承諾のお返事を送っていて。
今までずっと顔も出さない、リスナーさんと話したりもして来なかったから、恩返し的な意味も考え承諾した。

まぁ、一番の理由は歌いたかったからで。


“詳細はまた改めてお送り致します。打ち合わせ等もございますのでよろしくお願いします”

という文に、こちらこそよろしくお願いしますと送った。


『わぁ……イベントに出られるくらいになったのかぁ…嬉しいな…』

あれ、そういえばさっきの詳細に………


『わお……』


出演者の欄には、

“実況者と歌い手6人ずつ(予定)”

と、書いてあった。


そして既に実況者の部分と、歌い手のベテランさんの枠は埋まっており、スクロールして見てみると、この間知り合ったばかりの三人のお名前と、キヨ兄の名前が書いてあった。


『……他人を装わなければ』

一抹の不安を感じた。

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