叶わない37 ページ47
朝から緊張が収まらない。
今日はイベント当日。朝早い今からリハーサルに行ってきます。
もう慣れてしまった電車で移動し、大きな会場に着くと最近仲が良くなった歌い手さんと会ったもんだから、一緒に会場入りした。
A 「なに、月白ちゃん緊張してるの?」
『するに決まってるじゃないですかー…このイベントが初めてなんですもん』
A 「そうよね、初めてなんだっけ。…でも、緊張してばっかだと楽しめないよ?イベントは出演者も楽しまなきゃ行けないんだから!」
そう、元気に言ってくれた大先輩のお陰で少し緊張がほぐれ、めいっぱい楽しんでやろうと決意して大きく返事をした。
___________
リハーサルから控え室に一人で戻っている時、ある見慣れた人とすれ違った。
そう、長身のあの人。
キヨ 「…A、この前はありがとな。助かったわ」
『…うん、元気になったなら良かった』
周りに誰もいないのを確認してから、キヨ兄が声を掛けてきた。
この前の不健康そうな見た目とは打って変わって、今は調子が良さそうだ。良かった。
とっても、気まずい。
『…ちゃんと、ご飯食べてる?』
キヨ 「…あぁ、ちゃんと食ってる。お前に怒られるからな」
そうへらっと笑ったキヨ兄に、私も笑い返すと奥から人の気配が。
それにはキヨ兄も気付いたみたいで、私の頭をぽんと優しく叩くと、
キヨ 「…今日、楽しみにしてる」
と、そう囁いてキヨ兄は去っていった。
『…私も、今日はキヨ兄をずっと見てる』
そう、小声で呟いた。
涙が零れそうだった。
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蘇澳(プロフ) - けろさん» コメントありがとうございます!とても励みになりました!お目に入れて頂き光栄です!これからも更新がんぱりますので宜しくお願いします^^ (2019年8月30日 16時) (レス) id: e4a4be21c3 (このIDを非表示/違反報告)
けろ(プロフ) - 初めまして!毎回更新を楽しみにしています(^^)居候生活編も楽しみに待ってます笑小説書くのは大変だと思いますが応援しています! (2019年8月30日 12時) (レス) id: 2aaeade905 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蘇澳 | 作成日時:2019年8月12日 23時